私の「親家片」体験

家を残したくて貸家にしたが、気苦労が絶えず…… 第3話 ~退去を待ち、家を売却することに~

入った入居者は途中で追い出せない、結局15年も貸家にしたままに
小田島恵子さん 東京都・56歳

 

実家を貸家にして15年がたち、貸し出すことへの心の負担がだんだん大きくなっていった小田島さんだった……。

15年の間、入居者が退去したときに、貸家に出すのをやめようかとは考えなかったのか。小田島さんに尋ねた。

 

「実は、そんなふうに考えてもいたのですが、兄も私も自分の家のことや仕事で忙しかったものですから、不動産会社には何も言っていなかったのです。それで2番目の家族が出ていったときにも、しばらく放っておいたら不動産会社から次の入居者が決まったという連絡があって。不動産会社の話では、すでに賃貸の契約書、といってもいつも同じ文面のものなのですが、契約書にサインももらっているという話でした」

 

そこまで話が進んでしまっているのでは、いまさら「もう貸すのはやめました」とも言えない。それに入居者は30代の会社員で、転勤でこちらにいる間の住まいということだったので小田島さんは了承した。

 

3番目の入居者が退去するのを待ち、売却の手続きを開始

「結局、3番目の入居者は3年住んで退去したのですが、途中で出ていってもらうことも考えました。ところが入居者は法律でも保護されていて、出ていってもらうことはとても難しいということを友人から聞きました。その友人も親がアパートを経営していて、アパートを取り壊し更地にして売却しようとしたのですが、住人との交渉が難航し高額な補償金を払ったとか。それで2、3年でまた転勤するという話に期待して、もうしばらく我慢することにしたのです」

 

そうして親の家が空き家になってから15年が経ち、3番目に入居した一家が出ていくのを待って、小田島さんは実家を売ることを貸家の管理をしていた不動産会社に告げた。

 

「家を売る決心をしたのは、家を貸すことが大きな精神的負担になっていたことが一番の理由でしたが、このころになるともうひとつの問題も感じ始めていました。貸家にした実家は、兄と私の共同所有ですから、私たちが死ねば兄と私の子どもたちに引き継がれるわけですよね。いとこ同士とはいえ、それぞれめったに会うことのない者同士ですから、共同所有のまま子どもたちが相続しても、かえって彼らの負担になるだろうと思うんです。そういういろいろなことがあって、今度こそ手放す決心がつきました」

 

その後、売れるまでに3年を要した。売却成功のきっかけは、地元の友人に福岡市内の不動産会社を紹介されたことによる。

売却価格は1400万円。売買契約書に押印し契約が成立、小田島さんと小田島さんの兄の銀行口座には、土地代金から諸費用を差し引いた金額の半分ずつが入金された。貸家から売却まで、実家を処分するまで、足かけ18年かかった小田島さんの親の家をたたむ作業はこれで終わった。

 

第4話に続きます