私の「親家片」体験

娘との同居で空き家になる家を親戚に格安で譲る 第1話 ~親が生存中に家をたたむことを決意~

処分を優先し、評価額790万円の家と土地を安価で売却。山林は手つかずのまま、売ったとしても価格は限りなくゼロに近い
小林民さん(仮名) 横浜市・92歳

 

「手入れをしてきたので、すぐにでも住めますが、300万円にしましょう。それでいいです。その代わりといっては何ですが、多少、家具は残したままになります。処分はおまかせします」

 

小林さんは、売却価格にこだわらないと決めていた。街の不動産会社に依頼する前に、隣近所や近くに住む親戚に声をかけてみた。無料でもいい、そんな気持ちもあったという。

幸いなことに、しばらくして小林さんの呼びかけに反応があった。

小林さんの家からさらに奥まった地所に住む親戚が、孫夫婦のために購入したいと申し出てきた。やはり、地場には地場の需要があるのだ。

 

とはいうものの、地縁社会でこれからも生きていく親戚にとって、あまりに安い価格で買い取ったとの噂が広がれば、困惑する場面があることは容易に想像がつく。そんなワケで、なかなか売却価格を言い出す雰囲気にはならなかった。

 

それを察した小林さんが、冒頭のように自ら口を開いたのだ。固定資産の評価額の半値以下だったためか、それ以後はトントン拍子に話が進み、売買契約が成立した。

将来的には空き家になることが予想される実家を、親が生存中にたたむ方法もある。親の住まいの売却を促し、呼び寄せて同居するのもひとつの方法だ。小林さん親子はそれを選択したわけだ。

 

第2話に続きます