私の「親家片」体験

両家の片づけをひとりで行う 第2話(最終話) ~思い出の品は物置3個ぶんにもになった~

夫の兄弟は「思い出の品を捨てないで!」。それから9年、誰も見には来なかった  山口ゆかりさん 長崎県・66歳

 

実母と義母を同じ年に失い、両家の片づけをひとりで行った山口さん。実家の片づけはコツコツと進めたが、義母の家の片づけはなかなか進まなかった。「思い出の品をとっておいてほしい」という夫の兄弟の要望にどこまでこたえるべきか、山口さんでは判断がつかないものがたくさんあったのだ。

 

たとえば夫一家が上海に住んでいた頃の品々。夫の兄の小学校時代の国民服やゲートル、夫たちの子ども時代の写真、義母が30代の頃によそゆきにしていたであろうシルクのチャイナドレスや重い毛皮のコート、義父のマントやトランクなど。さらにはシーツや掛け布団、羽毛布団や、ゴルフ道具、未使用の引き出物類……。

 

「夫にどうしようかと尋ねると、夫は“捨てない”と言うんです。結局、両親のものは、メモ用紙1枚まですべて箱に詰め込みました。でも、私はそれがいやだとも思いませんでした。モノひとつひとつに親たちが過ごした時間が詰まっていて、親たちが生きた日々に、そしてその生活に思いをはせることは、むしろ楽しいことでもあったからです」

 

物置3個分の荷物、自分たちの荷物の整理……まだ気がかりなことも

 

しかし、結果、膨大な量のものが残った。

「大きな物置を3個購入して、わが家の庭に置き、片づけを始めてから4カ月後にそこにすべてのものをおさめました」

 

それから9年―-。

「思い出の品をとっておいてほしいと言っていた夫の兄弟は亡くなり、夫と義妹が残るだけとなりました。この間に、物置の中を見に来たこともありませんでした。それでも捨てるに捨てられず今までとっておきましたが、夫の記憶の外にありそうなものから少しずつ処分してもいいかなと思い始めました。私自身も70歳までに不用なものを処分してシンプルな生活をしたいと思っています。でも夫は、両親のものを何ひとつ捨てなかった人。自分の家のものも同様です。そのため、いまだに何ひとつ整理できていません。日々、もどかしさを感じています」

 

(完)