私の「親家片」体験

母が住んでいた実家をリフォームして同居 第1話 ~モノを捨てたがらない母と向き合った~

思い出の品とともに暮らしていた母の家の片づけ。どんなものもとりあえずとっておきたがる母を、時間をかけて説得した
三ヶ尻晃子さん 東京都・56歳

 

三ヶ尻さんが親の家の片づけを迫られたのは、2010年の春のことだ。
「母は当時84歳でした。その3年前に父を亡くしたのですが、料理もすれば洋裁や編み物も上手で、携帯電話で絵文字入りメールを孫とやりとりするほど積極的な母だったんです」

だが、父親の死後、ひとり暮らしになった母・公子さんは少しずつやせていった。
「母は、父が生きている間は父のために料理を作っていたんです。ですから、料理を作る気力を失ってしまったんですね」

“おかあさん、自分のために料理しなくちゃ”

“そんな気分になれないの。あるものでいいの”

“またやせたんじゃない?”

“でも体調は悪くないの”
「言葉で励ましても、らちがあかない。見るたびに細くなっていきました。このまま放っておくわけにはいかない。防犯の面でも、高齢者のひとり暮らしは心配ですし。それで夫に相談したら、母と一緒に住もうと言ってくれたんです。そこで、私たち夫婦と娘が、私の実家に引っ越すことになりました」

 

同居のためのリフォーム。工事開始までの猶予はたった1ヶ月

 

実は親との同居は初めてではない。三ヶ尻さんの実家は1階と2階が独立している二世帯住宅。三ヶ尻さんが結婚したとき、両親はこの家を新築。三ヶ尻さんは結婚した年から11年間、この家で両親と同居していた。

しかしその後、三ヶ尻さんは夫の転勤で、一家そろって海外に。帰国してからは、子どもがふえたこともあり、実家の2階には戻らず、車で5分のところに少し広い家を探し、住んでいた。

「今回、再び同居するにあたり、家の間取りをすべて変えることにしました。フロアごとに独立した仕様ではなく、わが家と母でひとつの家族として住むことにしたんです」

 

4月にプランができ上がり、5月の連休明けにリフォームのために業者が入ることが決まった。

「それから片づけが始まりました。とりかかる前は、そんなに大変なことだとは思っていなかったんです。32年前、私の結婚が決まり、家を二世帯住宅に建てかえたときに、母が中心になって古いものはかなり処分しましたし。あのとき、母が“もう、おばあちゃんったら、こんなにためちゃって”とこぼしたこと、今も覚えています。父が亡くなったあとも、父の衣類や靴をたくさん手放したはずでした」

不用なものは、リフォーム業者が工事の前にまとめて運び出して処分してくれることになった。片づけに与えられた期間は約1カ月だった。

第2話に続きます