私の「親家片」体験

1坪3000円の「田舎の古民家」。知人の紹介で売却が実現 第3話(最終話)~購入者とともにモノの選り分け~

購入者も立ち会って片づけ開始! 古い仏壇は処分
岸本靖夫さん 岡山県・66歳

 

古い柱時計や玄関脇にある下足入れ、タンス、掘りごたつ、座卓など、いわゆるアンティークなものは購入者が残すことを望んだ。
まったく使われていなかった古釜や鍋も珍しがられた。そこで、本格的に片づけを始めるにあたって、購入者にも立ち会ってもらい、そのまま残すものと不要なものを選り分けてもらった。

 

納屋の中にあった農機具、わずかに残っていた炭や薪もそのまま残してほしいということだったので、納屋に関してはほとんど手をつける必要がなかった。

 

「結局、納屋や家畜小屋にあったものは全部残していきましたね。もちろん残したものについては無償です。値段のうちともいえますね。牛の餌まで残しました。牛もいないのにね。そのことを元商社マンの購入者に話したら『もし牛がいたら、牛つき古民家ということで、もっと高い値段で買いましたよ』と言われました」

 

家財道具のうち使えるものと形見の品だけを持ち出し、その他衣類や書類、古い寝具、神棚にいたるまで燃やせるものは庭で燃やした。周囲にもうもうと煙がたちこめたが、隣家は数百m離れているから気兼ねすることはなかった。食器類やガラス製品、陶器、傘やゴルフクラブなどの金属製品、それに家電品などは回収業者に有料で処分してもらった。

 

墓は、母親が老人ホームに入る際に、裏山にあった先祖代々の墓から少し離れた寺の墓地に移している。

「古い仏壇は処分することにして、処理は菩提寺にお願いしました。魂を抜くお経をあげてもらい、新たに岡山市内の自宅に仏壇を購入。菩提寺の住職に来てもらい、魂を入れるお経をあげてもらいました」

 

お彼岸には、岸本さんも両親のお墓参りに故郷へ足を運ぶ。
季節によっては、子どものころに遊んだ裏山に登って山菜採りもしている。そうして裏山からかつての家を見下ろしてみると、いまは新しい住人が畑に野菜やソバを植えるなどして、田舎生活を十分に満喫している様子だという。

(完)