私の「親家片」体験

相続権はないが兄嫁に遺産の一部を譲る 第4話(最終話) ~遺産分割、土地の売却が済み、やっと肩の荷が下りる~

兄嫁に新しい住まいを用意し
空き家となった実家の片づけに取りかかる
舘野恵子さん 東京都・57歳

 

館野さんが兄嫁に提示した条件は次のようなものだった。

 

遺産分割およびその処理については、相続人である自分が決める。兄嫁と協議して決めることはしない。ただし、現在、人に貸している土地は兄嫁に無償で譲る。
また、実家から新居に移る引っ越し代、向こう3年分の新居の家賃はこちらで負担する。土地の譲渡にかかる贈与税などもこちらが負担、ただし不動産の名義書き換えに伴う登録免許税、固定資産税、地代収入にかかる所得税は兄嫁側の負担、という条件も補足でつけた。
「当初は渋っていましたが、貸している土地からはそれなりの地代の収入があることを説明し、新しい生活が軌道に乗るまでを見込み、向こう3年間の新居の家賃もこちらが負担することで、なんとかOKをもらいました」

 

家電や貴金属類は兄嫁に、写真や形見の品だけが手元に残る

事が決まれば、すぐに行動に移すのが館野さんである。1か月後には母屋や味噌工場を取り壊し、更地にして売りに出す。それからほどなく、買い手も見つかった。売値から解体費用や兄嫁の新居の家賃3年分などを支払っても、手元には数千万円が残ったという。

「兄嫁は財産分与の結論が出て、1か月後に新居へ移りました。その後、空き家の片づけに帰ったときには、主だった家財はほとんどなくなっていました。家電品も残っていませんでした。そう高いものではないですが、貴金属類もなくなっていました」

 

兄嫁が持っていったものは、これまでの慰労金代わりに不問に付すことにした。
「捨てるのをためらうような品物は、兄嫁が持っていってくれましたから、おかげであとは楽でした。写真や形見の品だけを選んで、残ったものはまとめて廃棄処分にしました。家電品では古いエアコンと洗濯機だけが残されていましたね。これも持っていってくれればよかったんですが、リサイクルショップでも引き取りそうになかったので、家を解体するときに一緒に処分してくれるよう業者にお願いしました」

実家の片づけが終わると、やっと肩の荷が下りたようでほっとしたという。

 

(完)