私の「親家片」体験

名義は死んだ祖父!  従兄弟に頭を下げて相続手続き 第2話 ~売却の相談がきっかけで祖父名義に気づく~

母親がグループホームに入居したことで
空き家となってしまう実家の売却が現実化してきた 
前田亮子さん 東京都・55歳

 

前田さんは、妹との2人姉妹。母親はグループホームに入居している。

「3年前に入居した当時は、問いかければ私の名前をときどき思い出してくれたのですが、現在では、私を見ても『どなた?』とでも言いたげに、はじめて会った人のような表情を浮かべます。だいぶ認知症が進んでいるのでしょうね。
でも、手足をさすってあげたり、車椅子に乗せて散歩しながら話しかけ続けていると、なんとなく私だということがわかるんでしょう。最後にニコニコと本当にいい顔になることがあるんです。母が認知症になるなんて悲しい現実ですが、かえって、私のほうが母の笑顔に励まされているのかもしれません」

 

愛知県で自営業を営んでいた父親は早くに亡くなり、事務所を兼ねた実家では、母親のひとり暮らしが続いていた。
会社員と結婚した前田さんは、海外赴任や国内を転勤する夫とともに居を移していたが、現在は東京。医師と結婚している妹さんの住まいは、名古屋市近郊にある夫の実家。

前田さん姉妹にとって、母親がグループホームに入居したために空き家となった実家に移り住むのは現実的ではなく、いつかは処分しなければならなかった。

 

空き家になった実家が老朽化。だが放っておくわけにはいかない

 

前田さんの母親がグループホームに入居して3年が経つ。空き家になってしまった実家はどうなっているのだろうか。

「亡き父が事業を始めたときに新築したものですから、すっかり古くなってしまって。空き家といっても放ったらかしにはできませんから、母を見舞う折には、見に行っています。2年ほど前に一度、雨漏りの修繕をしました」

ただ、前田さんの実家の問題は老朽化だけにとどまらなかった。家屋は前田さんの父親が建てたものだが、名義は父親の父親、つまり、前田さんの祖父名義。祖父が購入した土地をそのまま引き継いだことで、名義もそのままになっていたのである。
本来であれば、前田さんの祖父や祖母から父親への相続が発生したときに、前田さんの両親がそのことに気づき、対応しておくべきだったともいえるだろう。

 

「父が亡くなったころは、実家のあたりは空き地が目立つほどで、地価も低かったのだと思いますが、いまでは隣近所も住宅が建て込んでいますので、相続税がかかるのか相談料を払って税理士さんに聞いてみたんです。その延長で売却のことも聞いてみました。売却のほうは、税理士さんの仲間の司法書士さんが確認してくれたのですが、それで名義が祖父のままだったことがわかりました」

名義変更するためには、祖父の相続人を確定しなければならない。前田さんは親戚のことを思い浮かべたが、司法書士からはもっと複雑なことを言われた。

 

第3話へ続きます