私の「親家片」体験

境界線があいまいで売れない義父宅 第3話(最終話) ~妻の実家をやっと売却、片づけは専門業者に~

新居を購入した建設会社に妻の実家の売却についても相談 飯島勝さん 東京都・59歳

 

妻の実家が空き家になったことで、飯島さんは当初、そこに夫妻で移り住むことも考えたという。しかし、現実には移住は難しかった。
「やはり、通勤の便を考えると遠すぎます。それに古い家で、建て替えも必要でした。あれこれ考えて、この機会に私も家を持っていいかなと。そこで、沿線では最も人口が多いとされる駅に狙いを定め物件を探し始め、妻の実家は処分することにしました」
飯島さんのマイホームは、駅から徒歩5分。それでいて大通りをひとつ入ったところに位置していることで閑静な住宅街になっている。その角地にある120㎡の土地に、新築の2階建て住宅が建つ。建売物件だが、間取りを変更したことで、購入価格は5000万円を超えた。現金での購入だ。

1階には寝室がない。キッチンと広いリビング。その一角に飯島さんこだわりの机と書棚を設置。飯島さん専用の書斎である。2階は寝室が4部屋。風呂とトイレは1階と2階の両方に設置。2階ベランダには、喫煙用のスペースも設けている。

飯島さんは、その住宅を購入した建設会社に、妻の実家の売却も相談した。

グループに工務店や不動産会社を抱え、「信頼できる」と紹介された会社である。ただし、すでにふれたように、境界の確定に手間取ったこともあり、売却までにはかなりの時間と労力を要した。飯島さんの妻の実家の売却が決まったのは、飯島さんが新居に入居してからおよそ1年後のことだった。

 

妻の実家は売却して片づけも終わった
自分の実家の片づけは当分の間手つかずのままに

 

「空き家の片づけは、すべて建設会社を通じて専門業者に依頼しました。家財を処分する費用はいったん自分のポケットマネーから出しました。売却金額は処分費用を払ったら赤字というほどではなかったですが、安すぎてお話しできるレベルではありません」
売却価格が安かったのは、古い家屋をそのままにしたことも影響したのだろう。

飯島さんは、義父母の家の後始末は終えたが、実の父母が暮らす北陸地方にある家屋については、当分の間、手をつける気持ちはない。

 

「65歳くらいでリタイアし、年の半分はこちらで暮らす。とくに冬は、屋根の雪下ろしのために正月以外にも帰ってくるよ、といったことを話しました。父母はそれで納得してくれたかどうかはわかりませんがね。おやじやおふくろが口にする『無理して帰ってこなくてもいいよ。なあに、心配いらないさ』といった言葉を思い出し、胸に刺さります。『もうそろそろ、こっちに帰ってこないか』と直接言われるより、こたえますね……」

 

(完)