私の「親家片」体験

親の家を売却し、同居できる家を新築 第2話 ~住宅ローンを組むことで新たな資金プランが生まれた~

空き家の売却と新居の建築 業界ナンバーワンの住宅メーカーならまとめてやってくれるだろう  湯川光子さん 愛知県・74歳

 

「建築は建築会社、不動産売買は不動産会社に、ということも考えたんです。それで、夫は長野市内の不動産会社にも何軒かあたってみました。義母の住む実家は比較的条件のいい地域にあるようだということはわかりました。それはそれで、よかったのですが……」

 

しかし、湯川さんの夫は、当時まだ現役。実家の売却のために頻繁に長野へ行く時間的余裕はない。また、湯川さんにもそんなことができる自信はなかった。

「それで、やはり家を売るのと新居の建築を一緒にしてもらえるところがいいと、もう一度そういう会社を探そうとなりました。でも、どこにあたればいいかわかりません。それで夫が『それなら一番大きい住宅会社から順番に聞いてみよう』と言うので、そうすることにしました」

翌日、湯川さんの夫は、会社近くにある住宅メーカー最大手といわれる会社の名古屋支社を訪れて、事情を告げて相談する。
応対した営業マンに条件を話すと、営業マンはこう言った。

「長野の家といまお住まいの家の売却、それに新居の建築を一括でお引き受けすることは可能です。私どものグループには、全国展開している不動産事業部門がありますから」

 

住宅メーカーの営業マンは、さらに2つの提案を付け加えた。

①新居の完成までは、湯川さん夫妻は現在住んでいる家に、長野の義母も夫の実家に住めるよう不動産売買手続きと新居の工期を調整し全体のスケジュールを設計する
②なるべく退職金を使わず、新規に住宅ローンを組んで自己資金分にあてる

 

資金繰りの裏ワザ!
住宅ローンを組んで手元の現金をキープ

 

提案①は、湯川さん夫妻にとっても好都合な話だった。

提案②については、意見が分かれた。

住宅金融公庫の利率は当時3%超。夫は現金で買えるのだから、利息を払うのは損だと考えたのだ。一方、湯川さんは、手元にできるだけ現金を残しておいたほうが安心という考え方で住宅ローンには賛成だった。

「住宅メーカーの人は『ご主人はまだ現役の会社役員なので、住宅ローンを組むのに何の問題もありません。住宅ローンは有利な借り入れですから、利息は保険と思い、組めるうちにローンを組んで、できるだけ現金を残しておくほうがいいですよ』ということでした。私もそう考えました」

 

湯川さんの夫は、定年予定間近といってもまだ60歳、仕事にも自信があったのだろう、リタイア後でも十分収入には見込みがあった。だから、利息など余計な支出と考えた。
「夫は利息を払うのは損と言いますが、私たちふたりともあと20年くらいは生きるでしょう。20年もあれば、その間、何が起きるかわからない。やはり、現金があったほうが何かと安心と考えたんです」
もちろん、湯川さんも20年間ローンを払い続けることは考えていない。この先も収入に余裕があれば、その都度、繰り上げ返済をして元本を減らし、将来の見通しがついた時点で、まとめて返済するというプランだった。
結局、資金計画は湯川さんのプランで決まり、夫の退職金はそっくり残った。夫は、その一部で駅前に投資用マンションを購入し、毎月入ってくる家賃をローンの返済にあてた。

 

第3話へ続きます