私の「親家片」体験

相続権はないが兄嫁に遺産の一部を譲る 第1話 ~母と同居し面倒を見てくれた兄嫁を無一文で追い出すわけにはいかない~

母親の死去で離れて暮らす娘が実家を相続
売却を決めたが母親と同居していた兄嫁が猛反発 
館野恵子さん 東京都・57歳

 

館野さんが実家の売却の話を兄嫁にしたとき、いきなりこう言われたそうだ。

 

「お義母さんの面倒をずっと見てきたのは私なんですよ。あなたはずっと家を離れたままで勝手気ままにやってきた人じゃないですか。それなのに私にこの家を出ていけとおっしゃるんですか。お義母さんは、私にずっとこの家にいてほしいと言ってくださったのに」
相続問題で最近話題を集めているひとつが、長男の嫁問題。長男の親と同居していて、家業を手伝い親の生活を支え、さらに介護や看病と献身的に尽くしても、いざ財産分与となると長男の嫁には相続の権利はない。長男が多めに遺産をもらえば嫁もいくぶんか報われることになるが、館野さんの兄はすでに他界しているため、それもかなわなかった。さらに館野さんの実家である佐藤家の相続が、一般とは異なる形であったことも兄嫁の権利を失わせる原因になっていた。

 

兄が母より先に亡くなったことで相続が複雑化

詳細は後述するが、要点をまとめると次の2点になる。
⑴館野さんの父親が亡くなったとき、すべての遺産を母親が相続した
⑵父の死後、続いて兄が母より先に亡くなった

 

もし、父親が亡くなったときに、一般的な相続のように配偶者である母親が遺産の半分、子どもである館野さんと兄が4分の1ずつを相続していれば、兄が亡くなったときに兄の相続分は兄嫁が相続したはずである。

 

さらにいえば、もし兄と兄嫁の間に子どもがいれば、兄の代わりにその子が相続人となることができたのだが、ふたりには子どもがいなかった。遺産相続という面では、兄嫁にとってはそうした不利なことが重なっていたのだ。その結果、すべての遺産がたったひとりの相続人である館野さんのものとなった。
一方で、たしかに兄の死後も義理の母親と同居し、世話を続け、また家業を手伝ってきたのも兄嫁である。そうした背景から、冒頭の兄嫁の発言となったのだろう。

 

第2話へ続きます