私の「親家片」体験

名義は死んだ祖父!  従兄弟に頭を下げて相続手続き 第1話 ~疎遠だった従兄弟に事情を理解してもらえない~

断られたらどうしよう、高額の代償を要求されたらどうしよう
相手は従姉妹なのに緊張の連続 前田亮子さん 東京都・55歳

 

「そもそもどう言えばすんなりわかってもらえるのかわかりませんでした。従姉妹は『なんであなたの親の家の名義変更に、私の承諾が必要なのか』という態度でしたから。もう開き直って、一から順に、祖父が亡くなったときに土地の名義を父に変えていなかった、名義変更は相続手続きなので、祖父の相続の手続きをやり直さないといけない。いま生きている相続人はあなたと私だけなので、あなたの承諾が必要なんだと説明しました。でも、その段階では、まだ理解してくれていませんでしたね」
空き家になった実家を処分しようとしたところ、不動産の名義変更がされておらず、余計な苦労を背負いこむ例は少なくない。前田さんもそのひとりだ。

不動産を売却するには、登記情報が整っていなければならない。前田さんのケースでは、土地の名義人が亡くなった祖父のままで、父に名義が変更されていなかった。この場合、改めて祖父の相続からやり直さなければならないが、すでに祖父の子どもたちは前田さんの父親を含めて他界、相続人は孫である前田さんと妹、それと従姉妹だった。
そのため前田さんは従姉妹を訪ね、名義変更の承諾を頭を下げて頼んだのだ。この話は、従姉妹にも前田さんの親の土地を相続する権利があるということにもなる。祖父が亡くなった段階で、子どもたちの間では前田さんの父親が家を継ぐことを了解していたはずだが、その手続きは不完全なままなのだから、法律上は相続人である従姉妹にも権利がないとは言いきれない。

 

取り繕うことなくありのままを伝えて、ようやく理解してもらえた

前田さんが緊張したのは、従姉妹が権利を主張するのではないかという不安があったからだ。司法書士からは「はんこ代くらいは払ったほうがいい」と言われていたので、いくらかは払うつもりだったが、土地を売ったお金の半分を要求をされたらどうしようという思いもあった。

「上手な説明をして相手に承諾してもらおうと、いろいろ考えたんですが、面と向かってみると頭が真っ白になり、何を言ってるのかわからなくなってしまって……。このままでは相手を不審がらせるだけなので、ありのまま話そうと腹をくくりました。父が祖父から譲り受けた土地だが、手続きが不備だったので法律上はあなたにも権利がある。名義変更を承諾してもらうということは、あなたにその権利を放棄してもらうことだと」

そこまで話をして、やっと従姉妹にも前田さんの来意がわかったらしい。

 

第2話へ続きます