私の「親家片」体験

境界線があいまいで売れない義父宅 第1話 ~境界確定の立会いで隣接している家々の権利意識が丸出しに~

隣の家との話し合いの場を持つだけでもひと苦労。隣家との境界が確定するまでは不動産取引は一歩も進まない 飯島勝さん 東京都・59歳

 

「隣近所ということで、普段はあいさつを交わしたりして親しそうに思えても、境界線の確定となると大変です。売却の仲介を頼んだ不動産会社から『個別にやったらまとまるものもまとまりせんよ。境界の立会いは関係者全員が集まり、その場で決めてしまったほうがいいです』とアドバイスを受けたので、隣接している4軒に声をかけたのですが、1軒の方がなかなか応じてくれませんでした。かなり以前にフェンスの設置をめぐって義父と多少のいさかいがあったそうです。それを根に持っていたのかもしれません」
こんな思いをするなら、空き家のまま放っておこうかとも考えたという飯島さんは当時をこう振り返った。

 

「しかし、そうもいかず立会いへの参加をお願いしました。菓子折りを持って、三拝九拝で頼み込んで、ようやく了解してもらったのです」

実際に境界確認の立会日が決まるまで、最初にお願いしてから3か月は過ぎていたという。

「土地家屋調査士にも来てもらい立会いを始めました。ところが始めたら始めたで、『垣根がはみ出している。実際は、もっと垣根を下げて作るべきだったんだ』といった類の『物言い』が際限なくありました。義父の土地を売って儲けようといった気持ちはありませんでしたし、それよりは早く決着したいと、ひたすらこちらが折れ続けることで、なんとかまとまりました。しかし、土地に対する執念というか、自分の土地が減るということに対して、人はあんなにも嫌悪感を示すものだとは、はじめて知りました」

 

不動産売却には境界標の確認が必須だが、隣家ともめることも少なくない

隣接する家との境界があいまいなままでは、不動産を売ろうにも、売れない。境界が不明ということは、登記されている土地を現地で特定できないからである。

つまり、親が亡くなり空き家になった実家などを売却しようという場合は、登記に加え、境界がはっきりしていることも確認する必要がある。できることなら、親が存命中にすませておくべきだろう。

境界を確かめるとは、具体的には「境界標」の確認である。境界標とは、隣接する家との地境を示すもので、十文字などの印がついた杭だ。木製のものもあれば、石やコンクリート製、あるいは金属でできている場合もある。

こうした境界標がない場合は、隣接するすべての家に立会いを依頼し、場合によっては専門家である土地家屋調査士のアドバイスなどを受けながら、境界確認の書面を作成することになる。ただし、境界の立会いを依頼しても、すべての隣家がすんなり応じてくれるとは限らない。

 

第2話へ続きます