私の「親家片」体験

両親の家を姉と二人で片づける 第2話(最終話)~疲労が蓄積しダウン 気づけば5年が過ぎていた~

介護疲れと、真夏の片づけで体調をくずし、整理のスピードがダウン  川村のぞみさん 熊本県・67歳

「最後の1年間、入院している母に、私はほぼ毎日つき添っていました。そして葬儀、もろもろの手続き……疲労がたまっていました。片づけを始めてから、私も姉も体調をくずしてしまったんです。めまいが始まり、微熱が続き、そして高熱が出て数日、寝込みました」 熱が下がってからも、なかなか本調子には戻らない。医師からは過労が原因ではないかと言われた。それからは片づけのスピードを落とした。きょうはこの引き出し、この棚というように、ぼちぼち片づけるように。気がつくと5年の歳月が過ぎていた。   「でも、もう少しでモノの片づけは終わります。写真はいいものだけを残して、それを専門業者にCDにまとめてもらう予定です。神棚など神様関連の品は、知っている神社にまとめて引き受けていただくことになりました。塩を振って箱に詰め、お礼とともに送ろうと思っています。高価な介護用品は病院などに寄付しました。あと残っているものは不用なものだけ。町のリサイクル大会に出せるものは出そうと思っています」

親の家を片づけたあと、50年書き続けてきた自分の日記も処分

だがモノの処分のあとには、家と土地の処分が待っている。 「家は解体します。そのときに、家の中に残った不用品も解体業者に処分してもらうつもりです。庭の植木や灯籠、記念碑も、それぞれ植木屋さん、石屋さんに依頼しなくてはなりません。土地の整地は土建業者に依頼することになると思います」   それにかかる費用は兄弟5人でお金を出し合うことも決めた。 「その後、財産分与するので、経済的負担はありません。不況で土地が売れない場合は、子どもや孫への増税支払いも加わり大変です。子どもや孫の代になる前に、町への寄付など何か役立つ方法も考えています」   親の家の片づけを通して、自分自身が元気なうちに少しずつ整理して、身の回りを軽くしておく大切さをひしひしと感じたという。 「引き出物などのいただきものは押し入れなどにためないで、新しいうちにリサイクルしたり必要とする人に譲っておく、処分に困る家具類はなるべく買わない、子どもや孫が欲しいというものがあったら早めに譲っておく、洋服やアクセサリーは最低限にして生前に娘や嫁にプレゼントしておく、写真の古いものは10枚くらいを残して処分しておく、旅行などではデジタルカメラで撮影して不用なものは削除することなどを肝に命じました」   子どもたちには自分と同じ思いをさせたくないからだ。 「私も高齢者の仲間入りの年齢になりました。先日、50 年間書き続けてきた日記も読み返し、心と頭の中へ思い出を詰め込んでから、思いきって処分しました。これから突然、入院したり、施設へ入るようなことが起きないとも限りません。いつ、そんなときがきてもあわてずにすむように、身の回りを軽くしておきたいと思っています」   けれど、片づけがもたらしてくれたものもあると、川村さんは今になって思う。 「母の死を受け入れることができたように思うんです。ひとつひとつ片づけながら、母との日々を思い出し、母が生きていた日々を見つめ、母は今も私たちとともにあるということをかみしめたような感じがしています」 (完)