私の「親家片」体験

80代半ばの義母、ひとりですべてを片づけた 第1話 ~亡くなる数年前から粛々と片づけ始める~

指輪、着物、古いミシンや火鉢まで。写真も2冊のアルバムに……
宮田恵子さん 東京都・56歳

 

「99歳で亡くなった義母は、家を見事に片づけて逝きました」

宮田さんの義母・祥子さんは3年前に99歳で亡くなった。

 

「60 年余りを過ごした義母の4LDKの一軒家に残されていたのは、普段使いの食器、ほんの少しの客用食器、本棚ひとつ、鏡台、箪笥2つ、家電類、そして仏壇などだけ。箪笥の中も整理してあって、普段着が数着と、下着やエプロン、着物が数枚ずつ入っているだけで、ガラガラになっていました。

亡くなる十数年前から“私はもうモノはいらん。使ってくれる人にもらってもらいたい”と義母はモノを整理し始めたんです。指輪やネックレス、いい着物は親戚や近所のかたに分け、私も帰省するたびに、指輪や帯などを少しずつもらいました。“この皿はおまえたちに使ってほしい”と古いお皿や、自分の俳句を書いた短冊も渡されました」
古いミシンや火鉢、小さな棚まで、人づてにもらってくれる人を探して、祥子さんは着々とモノを処分した。

 

帰省のたびにすっきりしていく義母の家。葬式用の写真まで用意

「帰るたびに家がすっきりしていくのは驚きでした。夫が子どもの頃の写真や義父母が若い頃の写真がおさめられたアルバムを2冊もらったのは、義母が93歳のときだったでしょうか。そのときに、“残った写真も、洋服も着物も、本も、あとは全部不用。私が死んだら、位牌以外はすべて家と一緒に処分していいからね”と言い残してくれました。

96歳のときに心臓を患い、入院したのですが、義母は尊厳死の宣言書もつくっていました。お葬式用の写真も自分で準備していたんです。お見舞いに帰るたび、“あの写真を使ってね”と言われました。自分が死んだときに、誰にいくらお礼をするかということまで言い残していました」

 

第2話へ続きます