私の「親家片」体験

親家片開始半年で、緊張の糸が切れた 第1話 ~実家のあと転居先も片づけることに~

認知症が進んだ両親はグループホームに。親の家の片づけに着手することになった  高坂育子さん 埼玉県・56歳

 

高坂さんが親の家の片づけを迫られたのは5年前のことだった。

「両親の認知症が進んで、これ以上、二人では暮らせないと判断。グループホームにお願いすることになったんです」

両親は必要最低限のものだけを持ち、マンションから引っ越していった。

 

「父も母も教師でした。リタイアしてからは、わが家から徒歩圏内のマンションに引っ越して、共働きをしている私を支えてくれました。子どもたちの保育園のお迎えをして、夕食を食べさせ、子どもが小学校に上がってからも私たち家族の夕食を作り続けてくれました」

3人の子どもが成長し、祖父母の見守りがいらなくなった頃、高坂さんは両親の異変に気がついた。父と母の会話がちょっとおかしい、と。

 

「同じことを何度も話している。物忘れがひどく、何回も同じことを聞く。もしかしたら二人とも認知症ではないかと思いました。当時、行政相談員もやっていた母を病院に連れていくのは特に大変でしたが、診察を受けると、やはり案じていたとおり、認知症の初期だということがわかったんです」

 

まだ人の手を頼むほどではないが、いつ悪化するとも限らない。高坂さんは自宅の隣のマンションの一室を借り、そこに両親に住んでもらうことにした。母親は78歳、父親は84歳。8年前のことだった。

「その引っ越しのときにいろいろ処分すればよかったのですが、まだ両親も判断力があったこともあり、何も考えずにほとんどの荷物を持ってきてしまったんです」

 

(第2話へ続きます)