私の「親家片」体験

不動産会社の機転のきいた仲介で実家を売却 第1話 ~チラシひとつで状況に変化が~

親の家を売るのも不動産ビジネス。上手な売り方もあれば下手な売り方もある。不動産会社の力の入れ方次第で光明も差す
田中陽子さん 埼玉県・55歳

 

「売値は4500万円にしましょう」

父親が亡くなり、母親が有料老人ホームに入ったことで無人となった実家。

田中さんは夫の友人の紹介で、ある不動産会社に売却を依頼した。周辺の家屋に比べ敷地も広く、家屋の手入れも行き届いていた。田中さんは、不動産会社の説明に納得した。

 

ほどなく、3人の購入見込み客が来たという。物件自体に魅力があったのだろう。ただし、4500万円という価格がネックになった。

3人の見込み客の購入希望価格は3000〜4000万円。売却希望価格とは差があった。そこで、不動産会社は、ある一手を繰り出す。

 

チラシで目立つようにレイアウト。その結果……

3人の購入見込み客の中で希望購入価格が最も高額だった人は、偶然にも不動産会社の営業エリア内に住んでいた。そこで、不動産会社は、見込み客の周辺地域に限って各家庭の郵便受けに直接チラシを配布する、ポスティングを実施したのである。

 

不動産広告は、誇大広告にならないように、使用する用語の制限もあれば、物件の概要について必ず記載しなければならない表示事項も決められている。たとえば、「特選物件」といった表現は、客観的な合理性に基づく基準がなければ、使用できない。そうした取り決めがある中で、不動産会社は複数の物件をチラシに掲載するとき、田中さんの物件を最も目立つようにしたのだ。

 

購入見込み客の場合は、内容や価格など、物件の比較検討により熱心になるということを知ったうえで、どう見ても田中さんの物件が抜きん出るように、チラシに掲載する他の物件を選んだのだという。

はたして、数日をおかずその購入見込み客は不動産会社を再訪問してきた。

結局、4500万円には届かなかったが、4200万円での売却が成立した。

 

第2話に続きます