私の「親家片」体験

思い入れのあるものを処分できず中断中 第2話(最終話) ~手づくりの品、写真はどうしても捨てられない~

母親の手編みのセーターやテーブルセンター、写真……。処分する決心がつかないし、誰も持っていってはくれない   西川典子さん 大阪府・63歳

 

親の家を片づけはじめて1年が過ぎた頃、無理がたたって体調を崩してしまった西川さん。片づけはペースダウンし、気づけば8年がたっていた。

 

「片づけのことが、常に心の片隅に引っかかっています。でも捨てるに捨てられないものもいろいろあって……」

母親の手編みのセーターやレースのテーブルセンターなども箪笥の引き出しに入ったままだ。昭和初期からの年代物の写真もどっさり残っている。

「妹や親類もなつかしがるだけで、持って帰ってはくれません。親の若い頃の写真も、私は処分する決心がつかないんです。いちばん処分できないのは父が撮った写真かもしれません。私や妹の幼い頃の写真、昔の風景まであるんです。親が亡くなる前にもっと話を聞いておけばよかったと後悔しています」

 

こうした写真は、地域で今昔を伝えるイベントがあると出したりもしているという。

 

「仏壇は私の自宅に移しました。嫁いでいるんですが、私は長女なので法事などもわが家でしています。お寺への月々のお布施や花代、供物、親類とのつきあいなど、結構こまごまと出費がありますね」

 

片づけ途中の実家の今後についても頭を悩ませる

 

「貸すには古すぎるし、自分たちは家があるので、住むつもりはありません。妹が帰省したときに泊まるかな、と思って押入れの中の布団はそのままにしているのですが、湿っていて使えないかも……。もしかしたら、いずれ私の子どもが住むことになるかもしれませんが、どうなるか全くわかりませんね」

 

今まで片づけにかかった費用は約30万円。便利屋さんを二度頼み、ふすまを張りかえ、出入り口のシャッター工事をした。

家と土地の代金の相場の半額を妹に渡し、西川さんの名義に変えた。現在は土地の一部を貸し駐車場にして、その収入を固定資産税の支払いにあてている。

 

片づけをするなかで、思ったことがある。

「残されても価値がわからないものが困るんです。実家にあった絵画や宝石類はその最たるもの。価値が不明なので、処分すらできません。同じようなことはしたくないと、最近、子どもたちにわかるように、高価だったアクセサリーの箱には“これは本物の宝石で高かったのよ、捨てないでね”というメッセージのつもりでマークをつけました。それから実家を片づけるなかで、両親に関して知らなかった部分や、見られたくなかっただろうなと思うものも出てきました。自分もいつ急病になったり、話せない状態になるかわからないですよね。不用なものはいつまでも残さないで、早く処分しようと思うようになりました」

 

(完)