「親家片」ストレス

親の話に耳は傾けるが、親のペースにはのまれない

親のペースに合わせていると、ときにはイライラが募ることもある

 

親と一緒に片づけを進めるのがのぞましい反面、やはり作業スピードは落ちてしまいます。

限られた時間内で片づけなくてはならないケースでは、遅々として進まぬ片づけに子世代の気持ちがいら立ってしまうことも。

 

「親と片づけるのは大変でした。古いレコードを見つければ〝あら、こんなところにあったんだ。これはお父さんが好きな歌手で……〟、古い漆器を手にとっては〝これは、誰それからもらったもので……〟、ペタッと床に座り込んで、のんびり思い出話を始めるのです。最初はふんふんと聞いていましたが、東京から新潟の実家まで通って片づけているこちらのことなどおかまいなし。だんだん頭に血が上ってきて、〝これ、いるの? いらないの?〟と聞く声がとがっていくのがわかりました」(AAさん 68歳 東京都渋谷区 親家片開始年齢63歳)

 

「あれもいる」

「これもいる」

「それは捨てられない」

親が執着にかられて主張し始めると、まるっきり作業が進まなくなってしまうこともあります。

 

話を聞いてあげることは大切だが、片づけの進行は別だと考える

 

「実家で母と同居したあとも、3年間、母の荷物を毎日毎日片づけ続けました。この間に、母がものを捨てたがらないのは、過去に執着しているせいだということがわかってきました。以後、母の言葉は、これまでの習慣や、そのときそのときの感情のおもむくままに言っているだけと、重く受け止めないようにしました。でも、親の意見には耳を傾けます。〝わかったわ〟と言い、共感することが大事だと思いますから。

でも、作業はきっちり予定どおり進めました。耳を傾けることと、母の言うとおりにすることは違いますから。親の言葉にいちいち翻弄されていては、共倒れになってしまい、片づけは終わりません」(AMさん 58歳 東京都大田区 親家片開始年齢53歳)

「“これはどうしよう……”と親が悩んだものは、いったんわが家に運んでから、わからないように処分しました。しばらくはわが家のひと部屋がそれで埋まりました」(HSさん 52歳 神奈川県川崎市 親家片開始年齢43歳)

 

「親と一緒に作業しても、親のペースにのまれてはだめ」

「こちらまで感傷的になってはいけない」

経験者の多くが切実な表情で、そう口をそろえます。

上記のAMさんのように、共感する言葉を口にして、親の心を静めつつも、断固として作業は続行し、処分するものは処分する。そういう強い気持ちもときには必要かもしれません。