「親家片」ストレス

片づけの最中には気づかない「モノを捨てるストレス」

親のモノと自分のモノでは、捨てる重みが違うことを覚えておく

自分のものは、自分の判断で捨てることができます。

 

けれども、親が使っていたものや大事にしていたかもしれないものは、親という存在と密接にかかわっていて、もの以上の重みがあったりします。

 

「義母は、ものを捨てないことはいいことと認識している人でしたので、家にはものがあふれていました。一方、私は捨て魔です。自分が不用だと思うと、捨ててすっきりするほうです。けれども、義母が捨てるのをいやがっていたものを捨てるのは、気持ちがいいことではありませんでした。ものを捨てるたびに私の胸がチクリチクリと痛んだのは、本当に予想外でした」(YSさん 53歳 東京都目黒区 親家片開始年齢51歳)

 

また、親が生きていて、家を汚していた場合には、ものは親の老いの象徴となり、親を介護しているようなストレスにさいなまれたりします。

親家片は想像以上にストレスフルなことなのです。しかし、片づけに突っ走っているときには、自分がストレスにさらされていることをなかなか意識できなかったりします。

 

何度も心を奮い立たせて向き合うたび、疲弊していく

 

「布団や箪笥は半年後くらいに処分しましたが、その後2年近くは全く進みませんでした。父の書棚の中は今もあまり片づけが進んでいません。思い出の品がいろいろあるために処分する勇気が出ないのです。あの家のあの部屋にまだ両親がいるような気がしてなりません。両親の死を認めたくない気持ちがあって、あまりきれいに片づけたくないのでしょう。今は自分の気持ちに逆らってまでどんどん進めなくていいのではないかと思うようになりました」(TYさん 62歳 島根県太田市 親家片開始年齢59歳)

 

「親家片は中断の連続でした。本格的な片づけは両親がグループホームに入ってからでしたが、最初は月に2~3回通ってせっせと片づけたものの、1年後に父が入院して完全にストップ。その後、父が亡くなり、しばらくして再度、週末に片づけを開始しました。けれどまた疲れてしまい、数カ月で小休止。ひと月休んで、気持ちを振り起こし、再々度片づけ始めましたが、2年後、ひとりでの片づけに疲れ果てて、完全に気持ちが切れてしまいました。ずっとこのまま放っておくわけにはいかないと思いつつも、気持ちは限界……。放置状態がしばらく続きました。そのとき、妹から〝気になっているけれど、なかなか片づけられなかった。そろそろ私もとりかかろうと思う〟と連絡をもらい、唐突でしたが妹にバトンタッチしてもらいました」(KHさん 56歳 千葉県千葉市 親家片開始年齢50歳)

 

知らず知らずのうちに、体の疲れだけではなく、精神的に追い詰められて、ある日、片づけの手が止まってしまう……それは珍しいことではありません。

 

親が暮らした家で、親の人生を思いながら行う親家片は、想像以上に心に負担をかけるものなのです。

けれども一気に片づけたために、精神的なダメージを長く抱えるようなことだけは避けたいもの。自分に合った計画を立てることが必要です。