「親家片」ストレス

親の家の片づけは、急いで着手しても途中でペースダウンすることがほとんど

「捨てる」という作業は、予想以上にエネルギーを消耗する

 

「こんな大仕事、一気にやらないととてもできないと思いました」

そういう思いで、大回転で親家片に取り組んだ人もいます。

 

特にリフォームや家の処分、賃貸住宅を退去しなければならないといったケースの場合は日にちが限られてしまい、いやおうなく親家片に取り組まなくてはなりません。

「決断も何も、6カ月以内に借地を返してほしいと言われたので、片づけに明け暮れました」(HSさん 52歳 神奈川県横浜市 親家片開始年齢43歳)

 

とにかく頑張る!

体力と気力を総動員して事にあたる。

けれども、私たちは魔法使いではありません。そのうえ、ささっと片づけられるほど親家片は単純明快な作業ではありません。

 

「先に延ばすと年齢的にできないと思ったので、母が入院中から片づけを始めました。でも息子たちの結婚、孫の誕生などで動きがとれなくなったこともあり、5年以上かかりました」(TOさん 62歳 新潟県長岡市 親家片開始年齢50歳)

 

「片づけにも段階があると思います。母が亡くなったあと、母が寝起きしていた部屋は1カ月以内にほとんど片づけました。けれど、服や着物、箪笥などの家財や書類などはまだ手つかずの状態です」(SKさん 54歳 広島県福山市 親家片開始時期54歳)

 

急いで着手しても、途中でペースダウンした人は意外なほど多いのです。

また、たとえ一気に片づけられたとしても、心の中に小さな後悔を残している人は意外に多いのです。

 

 頑張って片づけたのに、終わったあと後悔の念に駆られてしまう……

 

「実父が亡くなって1カ月後にいっぺんに片づけました。義母から〝残った人のことを考えて早めに進めたほうがいい〟と言われ、それもそうだと思ったのです。でも、片づけすぎました。母に渡した父のネクタイや時計くらいしか残っていない……それも母が人にあげてしまって、娘の私の思い出の品は何もありません。今考えると、私も母も動転していたのだろうと思います。もう少し母と相談して、気持ちが落ち着いてからやればよかった、という思いが消えません」(NNさん 54歳 静岡県富士宮市 親家片開始年齢34歳)

 

夢中で片づけ、思いきり捨ててしまったけれど、もっとゆっくり親のことを考えながら作業を進めたほうがよかったのではないか……。終わってから長いこと思い悩んでしまうこともあるのです。

「親のものを片づけて、自分は親の人生を消し去ってしまった」と落ち込んでしまう人もいます。

 

はたまた、「無駄なものをため込んでいた親に対する怒り」や「手伝ってくれなかった兄弟姉妹への恨み」がいつしか深く心に巣くってしまったという人も少なくありません。

なぜメンタルのそうした問題が起きてしまうのでしょうか。

「捨てる」という作業が、予想以上にエネルギーを消耗することだからではないでしょうか。