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空き家82万戸!東京都の取り組み

東京の空き家総数はなんと82万戸!

 

私は東京都の住宅政策審議会の委員をしていますが、直近の会議のテーマは、東京の空き家問題でした。

 

東京は深刻な人口減少に悩む地方とは異なり、いまだに転入者数が増えてつづけており、一極集中の是正が叫ばれています。そんな東京ですから、空き家の数は地方にくらべ、相当少ないのでは、という印象を持たれる方は多いのではないでしょうか。

 

確かに空き家率でみれば、全国平均13%のところが11%と低いのですが、空き家総数は既に82万戸に増加。うち相続・転居等による長期不在等の空き家、つまり誰も住まなくなった親の家などの空き家は15万戸に登ります。また、空き家総数の2割は「腐朽・破損あり」で維持管理が適切に行われていない、というのが実態です。

 

「空き家のまま放置しておく」という人が約半数

 

平成25年の住生活調査によると、空き家の今後の活用意向をみると「空きのままにしておく」とした人は48.9%で約半数のひとが、そのまま放置しているという状況です。しかも、そのうちの61.5%が「維持管理などほとんど何もしていない」としています。

この状況が進むと、空き家特措法の対象となる迷惑な空き家が続出することが懸念されます。

 

東京都の空き家に関する取り組み

 

こうした実態をうけて、東京都は空き家に関する具体的な取り組みの検討に入っています。主な取り組みの方向性は次の2点です。

 

1.空き家の適正管理

空き家の実態把握を実施します。

練馬区の場合、区内の空き家の外観を全戸調査するとともに、所有者の意向調査を実施しています。調査結果をGISシステムに入力し、地図情報として一元管理しようとしています。

また、文京区の例ですが、老朽空き家の除却を促進するために、跡地がコミュニティ広場や防災倉庫など公的に活用される場合は、除却費を区が助成し、跡地を区が10年間無償で借り受け使用しています。

さらに、東京都が保有する水道の閉栓情報の区市町村への提供も検討されています。

 

2.空き家の有効活用

空き家を賃貸住宅への入居が難しい高齢者のために活用することを推進しています。賃貸住宅として貸し出す際に必要な水回りなどの改修費の助成が平成27年度から実施されています。

文京区では、既に「すまいる住宅プロジェクト」として高齢者の入居期間中、貸主に謝礼金を支給したり、緊急通報装置の設置や入居者生活支援等も実施しています。

世田谷区の例では、個人の住宅として使われていた空き家を地域資源として多数の住民が利用するイベントスペースなどの非住宅へ転用するための、改修助成への支援をしています。

大田区は、国家戦略特区における空き家の宿泊施設、いわゆる民泊としての活用も平成28年1月から実施予定です。

 

東京都以外の自治体も空き家対策への取り組みを活性化

 

ここにきて、東京都だけではなく様々な自治体が、空き家に関する具体的な取り組みが活発化させています。国が、来年度の税制改正のなかに、相続した親の家や土地を売却した際には譲渡所得から3000万円を特別控除することを、検討していることからも、実感できます。

 

誰も住まなくなった親の家を引き継ぎ、どうしよう?と悩みつつも、目下のところは維持管理をほとんどしていない、という方は一度思い切って、該当する自治体の空き家窓口にご相談されることをお勧めします。

きっと親の家の空き家問題を解決する糸口が、つかめるのではないでしょうか。

 

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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_DSC7779大久保恭子
「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある

2015/12/09 | キーワド: | 記事: