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きょうだい間でもめずに相続を乗りきるには?【大久保恭子の親の家の有効活用指南】

きょうだい間での相続争いを防ぐコツは、親の家の現状把握と、それをどう活用していくかの共通認識が必要です。そのための話し合いはもちろんのこと、その際の推進役を立てることも大切だと大久保先生は言います。今回は、大久保先生ご自身の例をお話くださいました。

もめさえしなければ、親の家がきょうだいの仲をより緊密にしてくれる

恐縮ですが、私の場合を「もめなかった事例」としてご紹介いたします。推進役は私が担いました。仕事柄、弟より住宅・不動産について、情報・知識があるということが一番の理由でしたが、出張が多く多忙な弟に任せるのは現実的には難しいと考えたからです。

佐賀県唐津市の親の家の市場性を不動産会社やインターネットで調べ、その内容をメールで弟に伝達。それをもとに家をたたむ時期、家の有効活用方法について、これは重い内容なのでメールではなく、じかに顔を見ながら相談しました。「売る」ことで意見は一致し、地元の不動産会社に声をかけ、査定を依頼しました。査定のための実地調査には、私が立ち会いました。

どの不動産会社に依頼するか、査定額をもとに売り出し価格をいくらにするか、といったことについてもメールと電話で互いにやりとりして決めました。

片づけにかかった費用は領収書で明確にし、きょうだいで折半

たたむための片づけは弟の4日間の夏季休暇に合わせて、行うことを決めました。限られた日数ですべての物を片づけるには、互いの家族を動員しても物理的に無理だとわかっていたので、遺品回収サービスに依頼することを決め、私が手配しました。この間、手配や依頼にかかった費用はすべて領収書をとっておき、会計報告をしました。もちろん費用は折半でした。

私は弟より2日先んじて親の家に入り、捨てるもの、とっておくものを粗く選別し、とっておくものをすべて座敷に並べておきました。この中から欲しいものをできるだけ偏りなく、分配するためです。

きょうだい間での分配が終わったあとには、お世話になった親戚を呼び、欲しいものを選んでもらいました。その後は親しかったご近所の方々に集まっていただき、欲しいものをもらっていただきました。あとは、回収サービスに委ねました。

親の思い出の品が続々と運び出される様を見るのは、胸がつぶれる思いでした。ガチャガチャと無造作に袋の中に投げ込まれる食器の音は耐えがたく、思わず耳をふさいでしまいました。

腹をくくり、不平や不満の言葉はグッと飲み込んだ

こうして、片づけが終わり、がらんとした親の家で最後の記念写真を撮りました。 生前の親が使っていた、まるで親の分身のような、たくさんのものたちを片づけること は、2回目のお葬式を出しているような心持ちがしました。これで本当に親とお別れなのだ、としみじみ思ったことでした。

これまでの経緯をあらためて振り返ると、姉である私のほうが弟より多くの労力を使っています。でも、やれる者がやるしかない、と不平・不満を封じ込めました。 こうした日々をきょうだいが一緒に共有しながら過ごしたことで、2人の関係はより緊密になったと思います。親の家のおかげですね。今となっては両親に感謝です。

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある。