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どう進めるのが正解? 相続の話し合い【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

相続については、いつか兄弟や親戚間で話をしなきゃと思いつつも、葬儀後もなにかと忙しくてきちんとできていない……という場合もあります。しかし親戚が集まる機会こそ話し合う時間を持ちたいもの。具体的な進め方を澤田先生に教えていただきます。

遺言書の有無を確認後、どう話し合うかスケジュールを決めましょう

葬儀も終わって、そろそろ相続について話をしたいと思っても、どのように切り出したらいいか迷いますよね。誰も言い出さないと、あっという間に四十九日になってしまいます。

借金がなく、相続税もかかりそうにないかたは、多少ゆっくりしてもいいと思いますが、相続放棄をするかもしれないかたや、相続税の申告をする予定のかたは、早めにスタートすることが肝心です。

四十九日には相続人と財産の調査を終えて、遺産分割協議を始めたいですね。せっかくみんな集まっているのですから、誰かが呼びかけて、今後の進め方くらいは決めておきましょう。
まずは頃合いを見て喪主をねぎらいながら、「そういえば遺言書はあった?」「相続税のこととか、どうする?」と切り出します。遺言書がなければ、どう分けるのか話し合いが必要です。もし長男だから、同居していたからなどの理由で「こっちで全部やるから」などと言われても、「私たちみんなに関係のあることだから、相談しましょうよ」と提案を。

遺言書があっても、財産の一部しか指定されていない場合は、残りの財産は法定相続になるので協議が必要です。また、はじめは相続人でなくても、先順位の相続人が相続放棄をしたために突然、相続人になる場合もあります。あとであわてないように、しっかり確認をしておきましょう。

まずは協力して相続財産の洗い出しを

遺産分割協議は、相続人と相続財産を確定し、具体的に何を誰にどのように分けるのかを、全員一致で決めるのが基本です。話し合いをスムーズに進めるには、なによりも信頼関係が大切。

故人(被相続人)の財産は、必ず全部開示しましょう。相続人のひとりが財産を隠し、一部しか教えないことがよくありますが、それでは話し合いができません。
「ほかにも絶対あるはずだ」「では自分の相続分は1円もゆずらない」と、ほかの相続人が態度を硬化させかねません。ほかの相続人から疑われないよう、最初から証拠となる通帳や書類を出してすべてオープンにしたうえで、どのように分けるかを決めていきましょう。

遺産分割協議書は具体的にもれなく書き、全員一致が原則

具体的に遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が内容を確認して署名したのち、実印を押します。協議書の作成は義務ではないのですが、口約束だけではなく書面にしておくほうが安心です。財産にもれがないように、何を誰にどれだけ分けるのか、具体的に書いてください。

不動産は登記簿の内容を記載し、預金は口座番号や金額を書く必要があります。財産や相続人が多いと、協議書の作成は結構大変なので、不安なかたは弁護士などの専門家に依頼するのもいいでしょう

遺産分割協議書は郵送でやりとりして押印してもかまいません。相続手続きでは、遺産分割協議書の提出を求められることも多いので、1通つくってコピーするより、人数分の協議書をつくって押印し、全員で保管するのがおすすめです。代償金の支払いなど金銭のやりとりが含まれる場合には、公正証書にしましょう。万が一、約束が守られない場合に強制力をもたせることができます。

 

■澤田先生の著書『どうする? 親の相続』には、多くの体験談や相続に関するQ&Aを掲載。相続に関するベストな方法が見つかるはずです!

澤田先生本

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

2015/10/16 | キーワド: , , , | 記事: