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相続手続きのポイント。自分で行う場合一番大変なのは?【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

相続の手続きに関しては、さまざまな書類が必要になったり、物理的に手間がかかることもあり、弁護士や行政書士に依頼しておくと安心です。しかしながらできるだけ自分たちの手で、と費用面などの問題から考えている人も多いのではないでしょうか。その場合、一番大変なことは何でしょう。

故人(被相続人)の戸籍集めに時間がかかることも

相続手続きでは、相続財産の調査と相続人の確定が欠かせませんが、一番大変なのは戸籍の収集です。故人(被相続人)の相続人を確定するために、①相続人全員の現在の戸籍謄本、②故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を、もれなく全部集めなければなりません。

たとえば故人が父親の場合、父親が出生したときの戸籍である、祖父母の戸籍から必要です。故人の全部の戸籍を集めるのは、ほかに相続人(子供)がいないかどうかを確認するため。万が一、養子や認知した子供がいれば、その子供にも相続する権利があるので、相続分の計算が変わってしまうからです。その子供が遺産分割協議に参加していなければ、協議は認められませんし、あとから存在がわかれば、手続きはやり直しになります。

戸籍をすべて集めるには、かなりの手間と時間がかかりますが、銀行などの相続手続きに必要なことが多いので、必ず取得しましょう。

相続時に困らないよう、できれば生前に相続人の関係図の作成を

戸籍謄本は、取得したい人の本籍地の市区町村役場の戸籍課で「戸籍全部事項証明書」を請求します。請求できるのは本人、配偶者、父母や子供などで、代理人が申請するときは正当な理由と委任状が必要です。戸籍の請求は本籍地でしかできませんが、遠方の場合は郵送でも請求できます。請求してから届くまでには 1 ~ 2 週間かかることもあるので、余裕をもって請求してください。

ところで、本籍地と住所は同じとは限りません。結婚などで戸籍が変わっていたり、故人が本籍地を変更していたりすることもあります。故人の家族関係が複雑な場合や、何度も本籍地を変えている場合は、さらに大変です。また古い戸籍になると、手書きで読みづらいうえに、戸籍が改製された際に情報が消えていたり、災害で焼失していたりすることもあります。戸籍には耳慣れない用語が多く、そのために手続きがわかりにくくなりがちです。基本的な用語は覚えておくといいでしょう。

このように戸籍の収集にはとても時間がかかります。できれば生前に相続人全員の戸籍をそろえて、「相続人関係図」をつくっておくといいですね。同時に「財産目録」もつくっておけば万全です。

 

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

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2015/10/09 | キーワド: , , , | 記事: