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土地の名義が祖父のままでも問題ない?【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

「いつまでに手続きを」といった期限がない相続登記。そのため、もしかしたら実家の土地は父親や母親ではなく、すでに亡くなっている祖父・祖母または曽祖父なんてことがある場合も、実は珍しくありません。もし名義を変更しなかった場合、何か問題は起こるのでしょうか。

世代交代により相続権を持つ人が増え、トラブルも……

地方では今でも、土地の名義がずっと前に亡くなった祖父のままというケースがよく見られます。不動産の名義変更をするには相続登記をしなくてはならず、手数料もかかるので、ついそのままにしていることが多いようですね。

じつは登記には、いつまでにしなければならないという期限はありません。しかし登記をしないままに次の世代や、さらにその次にまで世代交代が進んでいると、その不動産を相続する権利をもつ人がかなりふえてしまい、トラブルになる危険性が高まります。

そもそも相続登記には「遺産分割による登記」「法定相続による登記」「遺言による登記」という、 3 つの代表的なパターンがあります。遺産分割パターンで登記するなら、遺産分割協議書が必要になります。法定相続パターンでは協議書は不要ですが、法定相続分でしか分割できません。遺言パターンは文字どおり遺言書がある場合のみ可能です。

知らぬ間に、誰かに法定相続による登記が行われている可能性も

つまり法定相続分を超えて不動産を相続する場合は、遺言書または遺産分割協議書が必要になるのです。もしひとりで土地を相続して名義変更(相続登記)をしたいなら、相続人全員の同意をとらなければなりません。しかし世代交代が進んで関係が遠くなれば、連絡を取り合ったり、必要書類や同意をもらったりすることも難しくなるでしょう。

また、離れた世代から相続するとなると、取得しなければならない戸籍もふえますし、古い戸籍になると廃棄・改製、災害による消失などもあり、取り寄せるのが大変です。
売却するにも、まず相続登記をしないことには売却できません。買い手がついても登記ができず、売れないのでは困ってしまいますね。

さらに不動産の名義が故人のままということは、とても無防備な状態です。法定相続による登記をしたあと、持ち分の譲渡や抵当権の設定が単独でできるので、いつの間にか兄弟に共有名義にされていた、などということもありえます。長い間放置していれば、誰かに法定相続による登記をされても気づきません。

このように、登記をしないまま不動産を放置するのは危険がいっぱいです。名義変更はできるだけ早く行いましょう。

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澤田先生本

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

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2015/09/25 | キーワド: , , | 記事: