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資金援助をしてもらった兄弟と相続分が同じなのは不公平!【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

「兄はたくさん資金援助してもらったのに、相続分が同じだなんて……」。大学の学費や結婚資金、家を建てるときの頭金など、親からの資金援助を受けていた場合、相続分はどうなるのでしょうか。そのぶん減らすことはできるのでしょうか。

「特別受益」として相続時に主張できます。証拠の書類を準備しましょう

兄弟であっても、親からの援助がまったく平等というわけにはいかないかもしれませんね。そういう「不公平感」はずっと忘れられないことがあり、親御さんの相続は「不公平分を取り返す」最後の機会なので、主張したくなる気持ちもわかる気がします。

でも、そういった争いがもとで兄弟仲が険悪になることもよくあるとか。あなたの場合はどうでしょうか。

親御さんが、お兄さんに資金援助をした分、あなたの相続分をふやすように配慮した遺言書を残してくれていたらよいのですが、そのような遺言書がない場合は、お兄さんとよく話し合うしかありません。

結婚資金や家の頭金は特別受益になる

話し合いの方法としては、特別に援助や利益を受けた分を「特別受益」として相続財産に「持ち戻す」ように主張する方法があります。 特別受益として認められるのは、①結婚や養子縁組のための贈与、②生計の資本とする贈与で、親からの援助すべてが認められるわけではありません。

たとえば結婚資金は①にあたり、家の頭金や事業資金の援助、家の生前贈与などは②にあたりますが、大学の学費はよほど高額でないと通常は含まれません。逆に援助が高額なら、①や②でなくても認められることがあります。

特別受益は、寄与分と同じく遺産分割協議の話し合いで、ほかの相続人と交渉します。それで話し合いがつかなければ、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて主張することになります。調停でも決着がつかなければ、審判に進んで裁判所の判断にゆだねます。

特別受益を主張するときは、証拠がないと納得してもらいにくいので、準備をしっかりと。

特別受益は、簡単にいうと①相続財産に特別受益の額を加える、②その額に法定相続分の割合をかける、③その額から特別受益の額を引く、という計算方法になります。

①をみなし相続財産といい、②がほかの相続人の相続分になり、③が特別受益を受けた人の相続分になります。この処理を「持ち戻し」といいます。兄弟ですから、譲歩し合って円満な解決ができるといいですね。

 

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澤田先生本

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

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