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空き屋になった親の家の有効活用「売却編」【大久保恭子の親の家の有効活用指南】

親が長年住んだ、思い出の詰まった家。空き家になっても手放せずにいるケースは少なくないのですが、社会のためにも「有効活用」の道を考えてみるのはいかがでしょうか。その「有効活用」の方法を、大久保先生に教えていただきました。

大きな選択は「売る」か「売らない」か「相続放棄」

誰も住まなくなった親の家を次世代のために有効活用する、といってもそもそも、有効活用の方法にはどんなものがあるのか、その中で自分の親の家に最も適した方法はどれか、それを実行するうえでの問題点とは何か、といったことがわからない、という方々が多数いらっしゃるのではないでしょうか。わからないと人は立ち止まってしまいます。

そこで、有効活用方法の全体像を俯瞰してみてはいかがでしょうか。できることはこれだけ、この中からよりよい方法を選ぶだけということがわかれば、前へ進むことができます。

まず、「売る」か「売らない」か「相続放棄」かが最初の分かれ道です。

住宅や不動産の専門家でない方にとって一番シンプルでスムーズな有効活用方法は、親の家に住んでくれる別の家族に向けて「売却する」ことです。「売る」と決めたら、なるべく早く、高く売ることを考えます。これは住宅の売却に関する問題となります。

「売却する」にも複数のやり方があります。まだ十分住める家であれば「中古住宅」、古いけれど全く住めないわけではない家なら、住めるかどうかは買い手に判断してもらう「古家付き土地」、誰が見てもこれは住めないというなら更地にして「土地」として売る、というやり方などです。

売りたくても「売れない」ときの活用方法

また、「売る」と決めたにもかかわらず「売れない」という現実に直面することもあります。その場合の選択肢は2つです。ひとつは、不本意ながら「保有する」という消極的選択です。家のまま、あるいは更地にして「保有する」ことになりますが、更地にすると、固定資産税が6倍になってしまいます。実に悩ましいことです。

そこでもうひとつの選択肢が自治体などへ「寄付する」ということになります。ただし、空き家の増加に伴い、無条件にどんな家・土地でも引き取ってくれるわけではなく、間口は相当狭まっているといえるでしょう。

たとえば、栃木県宇都宮市では次のような条件で土地の寄付の相談を受けています。「ただし、所有権者全員が寄付に対して異議のないこと」「隣地との境界について、明確な境界杭等があり、隣地所有者の同意を受けていること」「原則、更地であること」などの条件があり、宇都宮市が詳細調査を行い、活用の見込みを検討したうえで、寄付の可否を判断するとのこと。寄付問題も一筋縄ではありません。

 

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある。

 


2015/09/14 | キーワド: , , , | 記事: