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親の家を空き家にしないための心がけ【大久保恭子の親の家の有効活用指南】

親が亡くなったり施設に入居するなどで空き家になった実家。親の思い出が残った家を、すぐに売却したり処分するのは、どうしても気が引けるものです。しかしこの先誰も住まないのなら、気持ちをこう切り替えてみてはいかがでしょうか。

手放すのではなく「次世代のための有効活用」と考える

親の家をたたんだあとは、皆さんどうしているのでしょうか。

雑誌『ゆうゆう』の読者アンケートで、親の家をたたんだ経験が「ある」と答えた方で一番多かったのが、「そのまま空き家にしている」というものです。売った、貸している、更地にして保有している、という方は少数派です。

親の死後すぐに、家をたたんで売ったり貸したりするのは、子として心情的にはばかられる。親の家を自分の代でたたみ手放してしまう、という後ろめたさや寂しさから、ずるずると空き家にしてしまう、という気持ちはよくわかります。

私自身も数年前に親の家問題に直面した当初は、そのように思ったひとりですから。でも実際に売却してみて、考えはガラリと変わったのです。その顛末は、次のとおりです。

親の家は次世代に引き継いでこそ浮かばれる

私は佐賀県唐津市にある親の家を、3年ほど空き家にしたのちに売却した経験があります。私と弟の2人きょうだいです。ひとり暮らしの父を私や弟が住む東京へ呼び寄せ、2年半ほど暮らしていた間と、父が亡くなったあとに売却し買い手がつくまでの半年間は空き家でした。

父が上京した時点で、実家をたたみ、売却することを決断すべきだとすでに嫁に行っている私は思いましたが、弟は躊躇しました。「いつか父が戻りたいと言ったときのために」「親が住まなくなったからといって、すぐに売却するのは、世間体が悪い」「何より実家がなくなるのは寂しい」といったことが理由でした。

ところが、いざ売却し、間もなく買い手の家族が移り住み、嬉々として庭の手入れや外壁の掃除をして大切に住まわれている、という様子をご近所の方から伝え聞くと、手離した後ろめたさや寂しさは、買い手のご家族の幸せに少なからず貢献しているのだ、という安堵と喜びに変わったのです。こういうことなら、もっと早くに売りに出してもよかったのでは、と思ったほどでした。

親の家を手放すのではなく、次の世代にバトンタッチして有効に活用してもらう、と考えることが、親の家問題を解決するうえでのキモとなる。それが、実家や親が浮かばれる道だと、私は自分の体験からも、しみじみと実感しています。

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある。

 


2015/08/31 | キーワド: , , | 記事: