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空き家のままの親の家。1~2年の放置でも使い物にならない!?【大久保恭子の親の家の有効活用指南】

「誰も住んでいない家を放置しておくと老朽化が進む」ということはわかっていても、「数年は大丈夫だろう」とそのままにしておくケースは少なくありません。しかし大久保先生によると、予想以上に家が傷むのは早いようで……。

日本特有の高温多湿の気候が老朽化を早める

空き家にしておくとなぜ価値が下がるのでしょうか?

理由は簡単。住まない家は傷むからです。まして親の家は築30~40年の木造建築の割合が高いことが予想されます。すでにあちこち傷んでいるうえに高温多湿な日本の気候が、さらに老朽化を加速させるのです。

その原因のひとつは、室内の傷みです。

人が住まずに閉めっきりにしておくと、熱や湿気が室内にこもり木製部分が傷みます。
また、木を餌にする虫にとってはそうした室内環境は快適なため、活発に繁殖しさらに食い荒らされる木部の被害が大きくなり、傷みがより一層激しくなるのです。

水回りは、使い続けないと排水管内の水が枯れ、空洞となった部分から臭気が室内に入ってきます。そして3年も使っていないと、メンテナンスをしないままでは使えなくなってしまいます。当然、外周も傷みます。

外周は毎日強い紫外線が当たり、表面を高温にし、乾燥させます。乾燥すると木はひびが入り割れてきます。梅雨に雨が降り続けば、ひびの入った木のすき間から雨水が内部に浸入していきます。しかも、長雨の時期は高温多湿ですから、カビや微生物の繁殖も活発になり、木を腐らせ、いずれぼろぼろにしてしまいます。冬になれば雪や霙みぞれが氷の楔くさびと化し、木のすき間をさらに押し広げていき、木製部分を強く傷めつけます。

売却はできるだけ早く、賃貸にするには改修費が必要

親の家は多くの場合、築年数が30〜40年と古くて現在の耐震基準に合わなかったりするものが多く、いざ売りに出そうと査定してもらうと、建物の評価額はかなり低くなり、場合によっては土地値しかつかない場合もあるのです。建物の査定価格は築年数に反比例して下がっていきますので、売ろうとするなら、できるだけ早いほうがいいのです。

傷みがひどすぎる場合は、家を壊して、更地にしてしまったほうがいい、というケースも生じるでしょう。解体費用には200万円程度かかることが予想されます。

また、貸そうとする場合には、特に水回り、「トイレ」「台所」「浴室」設備の交換が必要な場合が多く、200万~300万円もかかってしまいます。一方家賃は地方の場合3万円程度の希望が多いため、家賃を原資にして回収しようとすると、70~100カ月かかり、現実的ではありません。

親の家は自然の力によって、徐々に傷めつけられ、住宅としての価値を低下させられていることを肝に銘じておきたいところです。

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある。

 


2015/08/24 | キーワド: , , | 記事: