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親に「書いて」と言いづらい遺言書、どう進める?【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

親が亡くなったあと、相続をめぐって親族間でのトラブルを避けるためにも「遺言書」は大きな役割を果たします。でも元気なうちから「ちゃんと書いておいて」と言うのも気がひけるものです……。親をイヤな気持ちにさせずに作成を進める、いい方法はあるのでしょうか。

財産調査などの手続きや内容をどうするのか、家族みんなで話し合いをするチャンス

「親に『遺言書を書いて』とは言いにくい」。そのお気持ちはよくわかります。弁護士の私も、自分の親に遺言書を書いてとは言いづらいですから。

でも仕事では「遺言書さえつくっておけば、こんなにもめなかったのに」というケースをたくさん見ているので、将来もめそうな予感がある人は、元気なうちに親御さんに遺言書をつくってもらっておいたほうがいいですね。

親が思っているほど、子供同士はそんなに仲良くないということもあるでしょうし、結婚したり、経済状況が厳しくなって、昔知っていた兄弟とは変わってしまっていることもあります。また、もしも親御さんが認知症になってしまったら、遺言書はもう書けません。逆に、誰か他人に書かされてもわからないでしょうし、遺言書を書いても、有効かどうかを疑われたりして、本当に大変です。

みんなで話し合うことで、親の負担も減る

でも、じつは私が遺言書を書いておいたほうがいいと思う一番の理由は、財産は家族が大切に受け継ぎ、将来まで守っていくものですから、分け方も家族みんなで決めたほうがいいということ!

法定相続は、それができなかったときにサポートするためにある法律なのです。この「家族みんなで決める」というのが、親御さんに遺言書を書いてもらう最大のポイントという気がしています。

親御さんに「遺言書を書いておいてね。財産を全部リストにして、私たちがもめないように、分け方も何もかも、うまく考えてね」というのでは、親御さんのプレッシャーや負担があまりに大きくないでしょうか。

たとえばあなたが2人兄弟だったら、「お兄ちゃんは家を相続すればいい。私は預金でいいって話しているのだけれど、老後資金を除いたら、貯金ってあるの?(笑)」というように、まず子供同士で話して、おおよその案を考えてから親御さんに提案してみてはいかがでしょうか。

エンディングノートへの記入や孫への贈与を柱に進めるのも

また、まずエンディングノートをすすめてみて、「相続人を書くのね。いい機会だから戸籍もとって、うちの家系図をつくってみようか。不動産は登記簿を見たほうがいいかしら。郵送やインターネットでとれるから、全部、私がやっておくわよ」と手早く必要書類を取り寄せて、一緒に書き込むところから始めてもいいかもしれません。

「お父さんが使っている銀行は〇〇支店だったっけ?」などと確認しながら、コツコツ財産や相続人の欄を完成させれば、しめたもの。あとは分け方さえ決まれば、遺言書の案文はできてしまいますね。

また、最近は相続税の大改正で、孫への教育資金の一括贈与の非課税措置や、孫を養子にするなどの生前の対策が、世間でかなり注目されています。親御さんもそれについて少しくらい聞いたことはあるでしょうから、あなたのお子さんの生前贈与なども含めて話題にすると、少し婉曲になって話しやすいかもしれません。

 

大事なのは、家族の大切な財産をどうやって残して受け継いでいくのかという気持ちです。縁あって、このコラムを読んでくださったのをよい機会として、将来、親御さんの介護を兄弟の間でどう分担するのかなどの話題もまじえながら、ぜひ家族みなさんで話し合ってみてください。

 

■澤田先生の著書『どうする? 親の相続』には、多くの体験談や相続に関するQ&Aを掲載。相続に関するベストな方法が見つかるはずです!

澤田先生本

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

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2015/08/14 | キーワド: , , , | 記事: