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エンディングノートは遺言書がわりになる?【主婦弁・澤田有紀の親家片法律コーナー】

自分史や友人・親戚などの情報、財産や生命保険に関することまで記入できる「エンディングノート」。今では多くの種類が市販されていて、実際に使う人も増えてきています。さて、そんな多岐に渡ってあらゆる事柄を記載するエンディングノート、遺言書として効力があるのでしょうか。

法的に有効なのは遺言書だけ、遺言書の予行演習のつもりで

最近は、エンディングノートを用意されるかたもふえましたね。資産や相続人、連絡先や介護・葬儀の希望などを書き出しておけば、残されたご家族の負担がぐっと軽くなりますし、ご本人も安心されると思います。

でも残念ながら、エンディングノートには法的効力がありません。銀行や不動産の相続手続きで実際に使えるのは、法律的に有効な形式で書かれた「遺言書」だけです。

よく「うちは仲がいいから遺言書は必要ない」という話を聞きますが、仲がよくても、遺言書がなければ遺産の分け方は「法定相続分で分ける」か「遺産分割協議をして全員一致で決める」しかありません。どちらにしても相続人同士で一から全部話し合って決めなければならなくなります。

もめるのは、決して「額」の大きさではありません

いざ相続となると、誰でも損はしたくないものです。たとえ兄弟でも時がたてば、それぞれの事情も変わっています。長年顔を合わせていないと、お互いの事情もわかりません。あまり会わない親戚なら、なおさらでしょう。

親が子に「平等ではないけれど、家族のためにこうしてほしい」と言えば納得できることも、そんな遺言がなければ、「自分の権利分は全部もらって当たり前」となり、分けられない財産があるともめやすいのです。

また、もめるかどうかには、財産の額はほとんど関係ありません。近年の家庭裁判所の調停件数は、相続財産が5000万円以下で7割以上、1000万円以下でも3割以上もあります。財産は自宅くらいしかないというかたが、逆に分けようがないので、もめやすかったりします。その場合は、特に生前対策が必要になりますね。

生前対策の中で、誰もが簡単にできて、一番有効なのが「遺言書」です。親御さんには、ぜひつくっておいてもらいましょう。まだ若いし元気だと思っていても、寝たきりになってから、認知症になってからでは遺言書は書けません。「まだまだ元気」なうちが、遺言書を書いてもらうベストタイミングです。
手始めにエンディングノートを活用するのはいいことだと思いますよ。財産や相続人をリストアップしたら、ぜひ次のステップとして遺言書をつくってください。

■澤田先生の著書『どうする? 親の相続』には、多くの体験談や相続に関するQ&Aを掲載。相続に関するベストな方法が見つかるはずです!

澤田先生本

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澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所代表。奈良県生まれ。1985年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務、エレクトーン講師を経て専業主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、2000年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』『どうする?親の相続』(ともに主婦の友社)など。

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