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未成年のたまり場に? 空き家のままの親の家を放置すると【大久保恭子の親の家の有効活用指南】

空き家対策特別措置法の施行など、社会的に大きな関心を集める空き家問題ですが、そもそも空き家のままで放置しておくと、何が問題になるのでしょうか。

雑草、不審者侵入、放火、倒壊などでご近所が大迷惑をこうむる場合も

誰も住まない親の家を放置しておくと、大まかには4つのトラブルが発生する可能性があります。

1 環境悪化

一戸建てにはたいてい庭があり、季節のよいときには数週間ほうっておくだけで、雑草がはびこります。樹木も刈り込まないと見苦しい外観となり、周囲に不快感を与えてしまいます。

また、隣家の敷地に枝葉が越境、迷惑をかけることになります。このように長い間人が足を踏み入れていない家は、景観上見苦しいだけではなく、不法投棄やスズメバチなどの害虫、ネズミやイタチなどの害獣の繁殖の場となってしまいます。

そうした空き家は周辺の住宅の売買にも悪影響を及ぼします。汚い空き家の隣家には買い手がつかず、不動産価格は下がってしまいます。

2 不審者の侵入

家財道具や布団を置いたままの空き家には不審者が侵入し、そのまま寝泊まりしているという事例もあります。さらに怖いのは小さい子を連れ込んでのいたずらなどです。

私の友人は北海道の親の家を放置していたところ、不良高校生が地下の物置場から侵入し、タバコやシンナーを吸ったりお酒を飲んだりする、たまり場となっていたそうです。空き家は青少年の非行を助長することもあるのです。

3 放火

消防庁の調べ(平成24年1~12月)では、日本全国の総出火件数4万4102件のうち12・1%の5340件が放火によるものでした。放火の疑いも合わせるとすべての火事の5件に1件は放火関連なのです。

人の住んでいない家は不審者が最も苦手とする、人の目がありません。また枯れ草、ゴミなどの燃えやすいものが放置されていて、かっこうの標的となってしまうのです。

4 倒壊

NPO法人 空家・空地管理センターに寄せられる空き家・空き地相談の中で最も多いのは、老朽化した家が倒壊の危険性がある、というものだそうです。

建物は使わなくなると急速に老朽化していきます。日本の家屋は木造建築のものが多く、定期的な換気ができていないとどんどん傷んでしまい、構造体としての役目を果たすことができなくなってしまうのです。

とりわけ昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた家は、現在の耐震基準と比べると地震に弱く、小さい震度や台風、雪の重みで倒壊する危険をはらんでいます。築30~40年の親の家は決して珍しくありません。すでに老朽化しているうえに、放置しておけば傷みは加速します。多くは旧耐震基準の家でしょうから、いつ起こるかもしれない地震は不安です。
このように親の家を放置しておくといろいろなトラブルが発生し、周辺地域の住民に多大な迷惑がかかることから、国や自治体が空き家防止に積極的に動きだしました。

 

親の家の空き家対策について、もっと詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をぜひ!

『どうする? 親の家の空き家問題』著 大久保恭子

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「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役。
1979年リクルート入社。週刊住宅情報編集長、執行役員等を務める。日立キャピタル業務役員、日本住宅ローン取締役を経て、2005年、㈱風の代表取締役就任。一般財団法人 住まいづくりナビセンター理事を兼務。
その他、国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅政策審議会委員などの公職を歴任。著書に『マンション選びは「立地」がすべて』『お片付けは「家ロジ」で。』がある。