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編集長・古戸郷子からのメッセージ~明るく元気を目指せば目指すほど、「親家片ストレス」は溜まっていく?~

「老い」を認めることから親家片は始まる

先日、新聞のコラムに、80代になるお母さんのひとり暮らしの住まいを嘆く娘さんのつぶやきが載っていました。

昔はきれい好きだったのに、どんどん服やら何やらが散らかるばかり。いっしょに片づけようと言っても拒否されるけれど、つまずいて転んだりしたらと思うと心配で……。この方と同じような心配が頭から離れないという方も、一歩進んで「捨てる・捨てない」の親子バトルに疲れ果てている方も多いと思います。

どうして親たちは、そんなに「親家片」に拒否反応を示すのでしょうか。同時に、そんな親に対して、子どもたちはどうして、こんなに感情が高ぶってしまうのでしょうか。

 

親に少しでも長く元気に幸せに暮らしてほしくて始めるはずの親家片で、親子関係が悪化したり、疲れ果てて、親家片が無事に終了してからも、親に対する複雑な思いをずっと引きずっている方に取材でもたくさんお目にかかりました。そうならないためには、まず、自分の心のケアをしてくださいね、とセミナーでは繰り返し申し上げています。

 

「親家片」に直面したとき明らかになること……、それは「親がもう若くはない」という事実です。だれでも毎年1歳ずつ年を重ねていくわけで、親が年をとるのはあたりまえのことなのですが、そこをすんなり認めるのは、実は「親」本人にとっても、子どもにとってもむずかしいこと。

親はいくつになっても、子どもたちには「まだまだ元気」なところを精一杯見せようとし、子どもは「元気なふり」をしている親をみて「まだまだ元気」と思おうとする。

でも、どんなに元気な親でも、自分で片づけられなくなったり、ひとり暮らしがむずかしくなるときがくるのです。毎年年をとっているはずの親の老いは、そんな「親家片問題」に直面したときに、いきなり「避けようのない事実」として親子の前に現れてくるわけですね。そして、それは「子ども」にとっては頭では理解していても、とても衝撃的なことで、親にとっても、「自分が年をとった」と子どもに対して宣言するようなものですから、とても複雑な気持ちです。

寂しさ、思いやり……本当はキツイ言葉なんて言いたくないのに

しかも、子どもから「どうして片づけないの?」などと、親子関係が逆転したようなことを言われてしまう。親のほうは内心、片づけられなくなった自分を情けなく思っているかもしれないし、「子どもに迷惑をかけたくなくて、いつまでも元気でいたいのに」という切ない思いにさいなまれているかもしれないけれど、言葉にすると、それは子どもへの抵抗になってしまったりする。子どもはそんな親に対して、寂しさや切なさがまじった怒りを爆発させてしまったりして、「心にもないこと」をお互いに言ってしまうということにもなるのです。

そんないろいろな思いにそれぞれの親子の事情がからまっているのが、親家片です。

親家片を始める前から、子どもも親も、どちらも心が弱っている場合が多いです。どっちもたいへんなんだ、と少し深呼吸したり、気分転換してみてください。ほんの少し気持ちを穏やかにすることで、やさしい言葉を親子でかわせたらと思います。

 

 

 


2015/06/09 | キーワド: , , , | 記事: