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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」第39回 ~増え続ける空き家と空室率――あなたの将来計画は?

固定資産税、相続問題……空き家にしておくのには理由がある

私は全国を講演などで飛び回っているのですが、最近はどこの町に行っても、「あっちもこっちも空き家」という状況を数多く見かけるようになりました。ほんとうに驚くほど空き家が多いことに気づきます。

それもそうでしょう、2013年の日本の空き家率は過去最高の13・5%を記録。戸数も2008年から63万戸増え820万戸に上りました。そればかりではありません。賃貸住宅の空室率も全体の物件数に対して2割に迫る勢いで増え続けているのです。

以前は、住まなければ賃貸物件として貸すか、取り壊して駐車場にするか、売却してしまえばよかったのですが、そのいずれも不可能な状態になってしまっている。そうした実家や、賃貸住宅が増えているわけですね。

では、なぜ住まない実家を空き家のままにしておくのでしょうか?

・今すぐに貸したり、売らないといけないなどの理由がない

・駐車場にしても採算があわず、固定資産税が高くなるので更地にはしていない

・実家を残しておくと親族が集まることができる

・将来、実家の土地の価格が上がる可能性に期待している

・忙しいので何とかしようと思っている間に時間が経過した

・今特に問題があるわけではないので、具体的なことは考えていない

・相続した実家は利用しないが、思い出の地なので残しておきたい

・相続で誰がその家を引き継ぐか決まらず、そのままに放置されている

・相続して売れると思っていたが、全く売れず面倒になって放置している

このような理由が考えられるのですが、不動産会社でもある立場から正直にいいますと空き家を空き家のままにしておくのは、メリットはほとんどなくデメリットのほうが多いものです。

人口が減っているのに住宅は造り続けられ、空き家も増加中

デメリットというのは、空き家の資産価値が確実に下がっていくのは間違いないということです。空き家が増える一方で、新築住宅は造り続けられ、住宅総数は6063万戸(13年)と08年比で305万戸も増えているのです。

これは〝特異〟な状況といっていいでしょう。人口の減少に歯止めがかからない現状に住宅の供給過剰が重なれば、必然的に不動産の価値は下落します。

相続した物件が土地だけならともかく、建物が残ったままで何年も経てば、建物は徐々に朽ち果て、火災の原因や倒壊の恐れがありますので、所有者に対する責任の追及が厳しくなってくる可能性もあります。

売れたとしても、古い建物はほとんど評価されませんので建物評価は0円。それどころか、解体費用を見込んだ金額を土地の価格から差し引かれた価格での売買となるのです。

 

生きていくためには絶対に必要な住まいですが、必要以上に所有していても使い道がなく、単なる金食い虫となってしまっているのです。

仮に人口が急激に増加すれば、問題は改善する流れに向かうのでしょうが、最近は少子化だけでなく、孤立化、未婚化が進み、単身世帯が急激に増加しているので、改善の見通しは当分の間見えてこないというのが、日々の遺品・遺産整理のお手伝いをする中での実感です。

ある程度の年齢になり、都心の持ち家を売却して税金を払い、余ったお金を持って実家に戻り生活できる人ならいいのですが、仕事のことを考えると、やはり田舎に戻るわけにはいかない……と困り果てる人は、今後も増え続けることは間違いありません。

皆さんも、将来相続する可能性のある不動産があるのならば、今のうちからある程度の、計画を立てておかれたほうがよいのではないでしょうか。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/