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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第37回 ~遺言執行者は誰か決まっていますか?~

遺言執行者が指定されていないと、
それがまたトラブルのもとに

〝遺言執行者〟についてご存じでしょうか?

遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実行したり、認知や財産を管理したり、名義の変更を行う人で、いうなれば、故人が最も信頼した代理人ということになります。

遺言書を書いていても、遺言執行者が決まっていなければ実現できない場合もあります。特に自筆証書遺言の場合は、内容が故人の希望ばかりで、執行者について触れているケースが少なく、遺言書の存在が相続争いの火種になってしまうことも多いのです。

もちろん、必ずしも遺言執行者が必要というわけではありません。相続人がひとりである場合など遺産分割を必要としない場合は、執行者がなくとも相続人が遺言通りすべて進めることになります。

また、複数の相続人がいても長男などを中心として話し合いがなされ、円満に遺言が実行される場合などは、執行者どころか遺言書も必要としません。

友人など身内以外に頼むこともできるが……

しかし、相続の場面では利益が相反する場合も多く、身内の争いに発展する可能性は否定できませんので、遺言書の記載で執行者を指定しておくことで、相続手続きがスムーズに進みやすくなるというわけです。

遺言執行者が遺言で指定されていなかったり、遺言執行者が亡くなった場合など、また指定者が拒絶した場合は、家庭裁判所に申し出れば、利害関係人の請求によって別の人を選任してもらえます。

一般的には遺言で指定されれば、第三者でも遺言執行者となることができます。この場合は当然、報酬を支払うことになります。さまざまな手続きなどを行い、相続人全員への報告業務なども発生しますので、かなり大変な仕事に対しての報酬になります。

すべての相続人の住所などがわからない場合は、義務を遂行するのが難しくなりますので、信頼できるからといって友人などに任せると、かえって迷惑をかけてしまうかもしれません。

利害関係のある遺族からの不満がすべて執行者に向けられることも考えられますので、少しでも問題が生じそうな場合は、やはり親友などに任せることは避け、相続を専門にしている弁護士や税理士、司法書士などを指定しておくほうがよいでしょう。

 

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/