専門家に聞く

編集長・古戸郷子からのメッセージ ~捨てられない気持ちを 少しでも軽くする方法~

使うと思って残したのに……。
どうする? 母の着物

「やっぱり、なかなか処分できないのよねえ」

「はさみを入れる気にはどうしてもならなくて……」

先日、たまたま、お昼にパスタを食べていたカフェのカウンターで、聞くともなく耳に入ってきた会話。

隣に座った、60才前後とおぼしき女性のふたり連れが、なかなか処分できない母の着物について、「いいものだけは選り分けてあるんだけれどねえ」「いつか着ようと思ってとっておいてあるんだけど、結局、そんな機会ってないのよねえ」「ほんとにそう」と、お互いに、ため息まじりに話をしていました。

親家片の話題が、こうしてふつうに交わされていることに、(大げさかもしれませんが)時代はここまで来たのか……と半ば感動しながら、やはり「着物」って、難物なんだなあと改めて思っていました。

実は私も、母が普段着も着物の人だったので、相当な数の着物を持っていて、親家片が半ば終了したいまも、まだ処分ができずにトランクルームに入れたままになっています。「とりあえず処分するにしても、一度袖を通してからにしよう。でもひとりで着られないから、着付け教室に2~3度通って」と数年は思っていました。

しかし、しばらくたち「でもそんな日は来ないかも?」と前述のおふたりのような気分にもなってきています。

捨てる前の「ワンクッション」があると気持ちの負担が減る

「“捨てるにはしのびない”という気持ちを押し殺して、処分することはやめましょう。“捨てなければよかった”と後悔することになりますから」とセミナーなどではお話しています。が、ずっと手元においておくわけにはいかないというのも現実です。

後悔をずっと引きずらないために有効なのは、「時間」や「ひと手間」のワンクッション。

家に持ち帰って、しばらく身近においてみたり、虫干しも兼ねて眺めながら、それを着ていた親の姿を思い浮かべてみたり。また前述のおふたりのように、それについて、だれかに話しながら、自分に少しずつ言い聞かせる、というのも、とてもいいワンクッションのおき方のように思えます。

私も、”トランクルームにしまいっぱなし”ではなかなか先に進めないので、そろそろ少しずつ、外に出してあげないとと考えているきょうこのごろです。


2015/05/24 | キーワド: , , , | 記事: