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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第36回 ~元気なうちに遺品整理を行ったケース~

 

 

「事前整理」と夫の遺品整理を
数回にわけて依頼

もしも1回ですませていただければ費用は20万~25万円程度だったと思われますが、3回に分けて整理のお手伝いをしたために、30万円以上の請求をしなければならなくなったケースがあります。運搬車両は軽自動車、スタッフは2名、日をおいて通算3回ほど通ったことで、最終的に頂いた金額は33万円でした。

そのご自宅は、1階には台所と居間、それに和室が2部屋。2階は洋室が1部屋と和室が2部屋という比較的大きな一軒家で、依頼されてきたのは、ひとり住まいの80歳の女性でした。

「大きなお家ですね」

「昔は家族で住んでいたので広くは感じませんでしたが、ひとり住まいの今となっては、広すぎますね。足が不自由になってからは、2階はほとんど使ってませんのよ。1階の台所と居間、それに和室だけで暮らしているようなものですね」

ご主人は十数年前に亡くなっているとのことでしたが、離れて暮らすお子さんは3人いらっしゃるとのことでした。

「お子さんは手伝ってくれないのですか」

「子どもと一緒に片づけをすると、きっと喧嘩になってしまうような気がするのよ。この前、子どもたちと電話で話していたら、『あれも残したい、これも残したいではダメ』ときつくいわれてしまったわ。せめて夫との思い出の品は残しておきたいのよ。それに、元気なうちに、自分の荷物も整理をしておこうと思って。ただし、いっぺんに整理をすると疲れると思うので、わがままですが、月に1回で半年か1年ぐらいかけて整理にきていただきたいのです」

というご希望だったわけです。ご主人の遺品整理と自分の事前整理のご依頼だったのですね。

自分の目で確かめながらの事前整理が増加中

弊社ではこのような方のために、事前整理サービス「クーパーズ」を提供していますが、元気なうちに自分で確認しながら自宅の中を整理しておき、すっきりした状態で老後の生活を送りたいというご依頼は年々増加しています。

今回のケースでは数日に分けて進めることなので、1日目は2階の洋室1部屋と和室の2部屋を2人のスタッフが共同で始めることにしました。

2階に上がると、廊下には真っ白になるほどほこりがたまっており、本当に数年間足を踏み入れなかったことがわかります。2部屋ある和室は、押入れの前まで荷物が山積みになっており、押入れにはたどり着けず、中に何が入っているか確認できません。

最初に廊下に段ボールを並べ、明らかにごみとわかるものから片づけを開始。そうして部屋の中に段ボールを置けるスペースを確保して、タンスや机、ベッド、小間物入れなどの整理にとりかかりました。

依頼主は2階に上がるのが困難な状態です。私どもは段ボールを1階の玄関にいったん置いて、「必要とするもの」「必要としないもの」のご確認をお願いしました。

1日目は2階の整理。2日目は1階の居間と和室2部屋の整理。最後の3日目はキッチンの片づけでした。3回のお手伝いですっかり部屋は片づきました。

自分の目で確認しながら残したいものだけを残す――。元気なうちの遺品整理のお手伝い「クーパーズ」は、亡くなってからの遺品整理とは趣が異なります。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/