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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第34回 ~実家が空き家になったらどうする?~

都心を中心に、相続税がかかるケースは増加予想、
早めに不動産価値の査定を

みなさんは、実家を相続したらどうしますか?

実家に住みますか? 貸しますか? 売りますか?

どれを選択するとしても相続した以上は、相続登記をして相続税を払わなければなりませんね。

相続すると相続税がかかることはご存じだと思いますが、相続税を払うのはお金持ちの話で、自分には関係のないことだと思っている人はまだ多いかもしれません。

しかし、2015年1月1日からは相続税を払わなくてはならない対象者が大幅に増えますので、もしかすると皆さんも相続税を払わなければならなくなるかもしれないのです。

2015年1月1日から発生した相続については、相続税のかかる遺産総額が引き下げられます。簡単にいえば、2014年末までの相続では、相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、遺産が8000万円までは相続税はかかりませんでしたが、15年からは無税の範囲が4800万円まで引き下げられるのです。

「相続税はここまでかかりません」という限度額が、従来比で6割に引き下げられたのです。その結果、都心などでは相続税がかかる場合が増加するのは間違いない、といわれています。

したがって、相続税に関しては事前にしっかりと調べておく必要があるのです。もともと自分の家でなくとも、相続した以上は義務ですから、税金を勘弁してといっても免除してもらうことはできないのです。

 

空き家のままで、どれくらいの維持費がかかる?

親が亡くなって空き家になった実家を相続したあと、片づけも売却もせずにそのままに放置しておいて、とても大変なことになったご遺族はたくさんいます。

中古マンションを相続した場合は、住んでいなくても管理費や積立金が毎月数万円かかります。

 

仮に管理費と積立金が月額2万5000円かかるとすると、1年で30万円、10年で300万円の出費になってしまうのです。相続税を払った上にさらに固定資産税も払い続けるわけですから、中古マンションは、自分が住むか、賃貸物件として収益を上げることができないと金食い虫となるわけですね。いや、恐ろしい金額です……。

また、築33年程度で現在1500万円で売却可能なマンションであっても、10年後は1000万円でも売却不可能な価格になっている可能性は十分にあります。

 

どれだけ価値が下がるかは、場所や建物によっても違ってきますが、少なくともバブル時代のように現在より価格が上がることは考えられません。つまり、この例で単純計算してみると、

◦固定資産税を年間8万円とすると10年で80万円(3年に一度変動します)

◦マンションの管理費・積立金が10年で300万円(月々2万5000円とした場合)

◦10年後の不動産の価値の下落を500万円と仮定

◦その他の雑費を年1万円として10年で10万円

これらを単純に加算すると80万円+300万円+500万円+10万円=890万円となります。

つまり、現在1500万円の価値のあるマンションが10年後には890万円目減りするというわけです。

これはあくまでも中古マンションを10年間空き家にしていた場合の仮定の話です。

しかし、こうしてみると、相続時の心配ではなく相続後の資産をどう活用するのか、また現状の不動産価値がどれほどあるのかを知っておくのはとても重要なことなのですね。売れると思っていた実家が、思った以上に安かったり、全く売れないかもしれないのです。もちろん、一軒家にしても、10年もの間、そのままというわけはいかないでしょう。屋根や外壁の修繕、そのほか庭木の伐採などの経費が必要になってくるのです。

恐ろしい話ですがこれが今の日本の不動産の実情なのです。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/

2015/04/28 | キーワド: , , , , | 記事: