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遺産相続で争いになるパターンとは?

遺産相続で紛争が起きてしまった場合や、今後そうなりそうなときは弁護士の出番。どんなケースでトラブルが起きやすいのか、またトラブル回避に大きな役割を果たす「遺言書」の作成について、東京セントラル法律事務所の代表弁護士 船島伸広さんにおうかがしました。

遺産が多い場合だけじゃない、
少ないケースはより激しい争いが…

分割協議が紛糾するケースには、いくつかパターンがあります。

「うちは遺産が少ないから大丈夫」と思っていても、少ないからこそ争う場合があります。

たとえば、相続する不動産が土地付き一戸建てだけだった場合です。このとき不動産の分割は現実的ではないため、誰が不動産を相続するか、相続できなかった相続人は代わりにどの財産で補てんするかなどの論点で、協議が紛糾します。

事業承継の場合にも協議が紛糾する傾向にあります。事業承継では、過去に事業に従事していた相続人のほうが協議を有利に進めることができるため、相続人の間で公平な分割ができないこともあります。しかし、事業に従事した経験を考慮せずに、事業承継を行えば、会社の経営が傾くというリスクも否めません。
そこで、従事経験がある兄は会社の経営権を相続し、従事経験のない弟は会社の建物を相続して賃貸収入を得るなど、変則的な解決策もあります。

 

遺言書を作りたいと思っても外出が困難なときは…

最近では、「生前に遺言書を書いておきたい」という高齢の相談者が増えています。
ただ高齢者の場合は、身体の不具合などの理由で、相談者本人が弁護士事務所を訪問できないことも珍しくありません。このような相続の高齢化に対応して、相談者のお宅にうかがって、出張相談を受ける弁護士も増えてきました。

実は、出張相談には相談者だけではなく、弁護士にも関係資料を直接見聞できるというメリットがあります。一例をあげれば、所有地の境界杭が登記簿通りに実際の土地に打たれているかをチェックできます。万が一、境界杭が打たれていないと、登記簿の不備と見なされるため、土地の相続はおろか、名義変更や売却もできなくなってしまいます。

 

今後、日本はさらに超高齢化社会を迎えます。相続の問題は人ごとではなく、より身近な問題となるはずです。遺産分割で家族同士が争うような事態を避けるためにも、親が元気なうちに話し合いをしたほうがいいことは間違いないようです。

 


2015/04/27 | キーワド: , , , , | 記事: