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相続トラブルになりやすい「代襲相続」って何?

円満な相続が予想される場合は、司法書士や行政書士、税理士に相続をまとめてもらうこともできますが、もし遺産の分割で紛争となり、調停で争うことになったら、サポートできるのは弁護士だけです。トラブルになりやすい「代襲相続」やトラブルを回避する遺言作成について聞きました。

母親は蚊帳の外に? 孫が主役の代襲相続とは?

親から子への相続開始時に、子どもが死亡している場合には、「代襲相続」が発生します。代襲相続とは、本来の相続人のかわりに、さらにその子(被相続人から見た孫)などが財産を相続することです。

このとき、相続権を失った者を『被代襲者』、代わりに相続する子などを『代襲者』と呼びます。代襲相続が発生するのは、相続開始時点で本来の相続人がすでに他界している場合や、相続欠格、排除で相続権を失った場合などがあげられます。ただし、相続人が自らの意思で相続放棄した場合には、代襲相続が生じませんので、注意が必要です。

 

 

実は、この代襲相続に関する相談者も多いといいます。たとえば、祖父が死亡したときの相続が開始する前に、相続人の父が亡くなっていた場合です。 父の他界以降、遠く離れて暮らし疎遠になっている父の兄弟から代襲者の孫あてに相続権を放棄するよう書面ですすめるケースがあるそうです。

このような場合、代襲者が未成年者であることも多く、その保護者の母には相続権がないため、相続放棄すべきかどうかの判断に迷うことがあります。 84_zu

 

ある日突然、相続を放棄してくれないかという手紙が

「相続放棄の勧告では、『分けるほど遺産が多くないうえ、貴方はもう実家とは疎遠だから』という理由を持ち出されることが多いですが、このような事案でも弁護士に相談してみるといいでしょう。 弁護士自身が現地に直接訪問して、遺産総額を調査するという提案もできるからです。

現地調査した結果、相続できる現金自体は少なくても、土地・建物・有価証券・生命保険など、遺産全体の評価額が数千万円にのぼるケースもありました。遺産の内容を正確に把握して、勧告を受けるべきかを判断しましょう」とアドバイスするのは、東京セントラル法律事務所の代表弁護士 船島伸広さん。

 

近ごろは、この代襲相続に関する相談が増えているそうです。 相続放棄を勧告する側は、節税対策をまったく行わずに代襲者の相続額を低めに算出した遺産目録を意図的に作成することもあります。そもそも代襲相続とは、通常の相続であれば、代襲者が被代襲者を通して相続できたであろう財産を、公平の観点から相続させる制度です。代襲者は正確な相続額を知ることが難しいため、相続放棄を勧告する手紙などが届いた場合は、弁護士に相談することが重要といえそうです。

 

「『遺言相続は法定相続に優先する』と定められており、相続において遺言書の存在は非常に重視されます。もし遺言書がなければ、相続人同士が遺産分割協議でお互いの取り分を話し合わなければなりません。 ほとんどの場合は、建物・土地・有価証券・事業など複数の資産が相続対象になり、法定相続通りに等分できないので、分割協議が紛糾することが予測されます」