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連載 パナホーム株式会社 リフォーム技術部 水口努さんが伝授!「親家片世代リフォームのツボ」第1回 高齢者配慮はコンセント&スイッチから!

パナソニックにて浴室やキッチンの設備デザインに携わり、現在はパナホーム・リフォーム部門の設計を担当されている水口努さん。長年の経験から得た豊富な知識と独自の視点で、夢のあるリフォームプランを数多く提供しています。パナホームが開催するリフォームセミナーで全国を飛び回り、「ぜひ我が家の設計をお願いしたい」という声が絶えない水口さんが、親家片サイト読者だけに送るリフォーム話。連載としてスタートです!

 

親家片世代のリフォームは「安全対策」が第一

 

「子どもが自立して夫婦だけになり、今の生活にあった間取りへリフォームをしたい」「実家でひとり暮らしをしている親と同居するため、リフォームしたいと思っている」。

ここ数年増加しているリフォーム市場。高齢の親との同居、または孫の誕生など、ライフスタイルの変化が起こる親家片世代にとっても、リフォームを考える場面は少なくない。

ひとことでリフォームといっても、間取りを変更する大掛かりなものから、トイレやキッチンの設備を新しくするだけ、といったケースまで規模は幅広いが、高齢の親との同居やシニアライフに向けたリフォームを行うときには、ぜひ知っておいてもらいたい安全上の設えがある。素人ではなかなか気づきにくい高齢者配慮とはどんなものなのだろう。

 

「高齢者配慮として、転倒事故などを防ぐ『バリアフリー』という言葉は世間に広く知られていますし、急激な温度変化によって起こる『ヒートショック』もみなさんご存じだと思います。これらのことに対してはお客様側も意識していらっしゃるので、リフォームの際に対策をとることは多いです。ただし、安全上の設えで見落としがちなのが、“コンセント”や“スイッチ”なのです」

 

一般的な基準では、床から900~1200mm(90~120cm)の高さにスイッチを取りつけることが決められているが、ほとんどの家では1200mmの位置についているという。

「これは健常者にとってはちょうどいい高さなのですが、高齢になるにつれて腰が曲がって腕も上がらなくなってくると、1200mmはやや高く感じるんです。もしも将来車いすでの生活になったときはなおさらで、壁紙を変えるならば、スイッチも900~1000mmの位置に低く変更するのをおすすめしています」

 

また、コンセントに関しても建築基準法では床から250~450mmの位置に取りつけることが決められていて、ほとんどの家では250mmの位置にあるという。こちらは「高く変更」することが必要だ。

「250mmという位置は若いうちはいいのですが、高齢になるとしゃがむこと自体がしんどくなってきますので、家事などで1日に何度も抜き差しするのは負担がかかります。さらに車いすの場合は、タイヤの向こうでコンセントを抜き差しする場合もあり、想像するだけでも大変なのがわかると思います。リフォームを考えていらっしゃるなら、コンセントの位置は450mmに高く変更するといいですね」

 

室内での転倒事故を防ぐため、コンセントに小さな工夫を

 

さらに、コンセントを450mmの位置に変更した場合は、高齢者配慮として気にかけておくことがひとつある。

「コンセントを差したときにプラグが曲がるものならいいのですが、扇風機や掃除機、加湿器など、よく使う家電のプラグは、真っすぐなものが多いんです。450mmの高さにあるコンセントに差した場合、コードがやや高めの位置からすーっと床に伸びるので、それに足をひっかけて転倒するケースがあります。高齢者だけではなく、遊びにきたお孫さんが転倒するということも考えられます」

 

高齢者配慮と安全対策を兼ね備えたのが、パナソニックから発売されているマグネットコンセントだ。プラグがマグネットでついている構造で、足をひっかけると「ポロッ」と簡単に外れる仕組み。大きな転倒事故を防ぐほか、抜き差し自体もあまり力がいらないので、高齢者にも好評だ。

「家中のコンセントをマグネットコンセントにする必要はなく、夏なら扇風機のコンセントや、リビングなど人がよく通る場所だけを変えればじゅうぶんです。多くても4カ所くらい、2カ所ほどでも間に合うかもしれません」

 

パナソニックから販売されているコンセントには、ほかにも高齢者配慮として注目すべきものがある。次回はセンサー照明についてお話をうかがう。

 

(第2回へ続きます)

取材・文/長澤幸代

パナホーム水口さまプロフィールナホーム株式会社 リフォーム技術部 チーフマネージャー 水口努さん

1988年松下電工株式会社(現:パナソニック)入社。
キッチン・バスなど住宅設備機器のデザインを担当。2004年より中国でパナソニックの内装業を立ち上げ、素敵な空間づくりで中国人の心をつかむ。2013年4月よりパナホーム株式会社においてリフォーム部門の設計を担当。 
パナホーム株式会社 http://www.panahome.jp/