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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第29回 ~自分たちで親家片をするときの作業手順~

ダンボール、数色のビニールテープ、
油性ペンは必須

ご遺族が自分で遺品整理を行う場合、準備しておいたほうがよい物と手順は次の通りです。

●手で切れる色違いのビニールテープを、3色以上用意するとよいでしょう。

●段ボールは、大中小と大きさの違うものを用意しておくと、整理がスムーズです。

●太めの油性ペンを用意し、面倒でもあらかじめ段ボールに鉄類、不燃物、可燃物、ガラス類、紙類などと記入しておくと、複数のメンバーで片づけをする場合に作業がはかどります。

●遺品に包丁などの刃物がある場合、危険なので刃の部分を両面からガムテープで挟み込むように止めておくか、いらないタオルとガムテープで巻いておきましょう。

●座布団や枕などはかさばるので、不要なカーテンを風呂敷代わりにして包み込むとよいでしょう。

●自転車置き場の自転車の処分は忘れやすいので、先に探しておきましょう。

●鍵類は、最後まで捨てずに取っておきます。

いくらきれいな部屋でも、作業を始めるとほこりが舞うので、マスクをすることをお勧めします。

 

複数人で行う場合はリーダー決めから。迷ったら後回し! が鉄則

手順1

責任の所在があいまいだったり指示する者がいなければ、遺品の取り合いになったり、自分の知らないうちに捨てられていたりと兄弟喧嘩になることもありますので、作業をするメンバーが複数いる場合は、できるだけ初めにリーダーを決めます。

 

手順2

リーダーは、故人の自宅周辺の道路を確認して、玄関の前にトラックを止めたままにできるくらい道路の幅が確保されているかどうかを確認しなくてはいけません。このときに再度ご近所にあいさつし、迷惑がかからないかを確認します。

トラックを家の前に止められないと、遠くの駐車スペースまで自分たちの手で運ばなくてはなりません。それによって段取りが大きく変わります。

また、特に集合住宅の場合は、台車がないととても不便です。借りるか、ホームセンターで安いものを買っておくと作業効率が上がります。

 

手順3

とにかくチームワークが肝心です。それぞれが勝手な行動をとらないように、どのあたりから作業を始めるのか、部屋数が多い場合はどの部屋から始めるのか、誰がどこを担当するのかを決めます。

 

手順4

カラーテープと油性ペンを持って端から順に部屋を回り、炊飯ジャーより大きい「必要なもの」にテープを貼っていきます。複数の人が形見として引き取る場合は、テープにその人の名前を書いてください。

それがひと通り終わったら、段ボール箱を複数用意して、次のように段ボール箱の横に書いて並べてください。段ボール箱の色分けができれば、なおよいでしょう。

 

●形見分けの品・供養希望の品

●検討中の品

●金属類(ナベ、包丁、スプーンなど)

●紙類(新聞、雑誌、書籍)

●衣類、繊維類(綿入りの布団類を除く)

●可燃物(木製品、紙製品など)

●不燃物(陶器、ガラス)

●食品(生もの)

●液体物(レトルト食品など)

●危険物、電池類(スプレー缶やライター)

 

細かいようですが、このように種類別に箱をつくってしまえば、整理が簡単に進みます。

初めにこうした手間をかけず、とりあえず手元の物から取りかかってしまうと、二度手間、三度手間が発生し途中で挫折してしまいます。

 

これだけの箱を置くスペースが確保できなかったら、何種類かをひとつの箱にまとめてもよいでしょう。内容物さえしっかり書いておけば、大丈夫です。

 

手順5

作業スペースを確保し、分別しながら梱包していきましょう。梱包の終わった段ボール箱は一度しか動かさないと決めて、きちんとあらかじめ考えたところに置きます。

ある程度梱包が進んだらいったん手を止めて、梱包済みの段ボール箱を玄関先の通路など、通行の邪魔にならない場所に積み上げてまとめます。

 

部屋の梱包が進み、玄関先に置くスペースがなくなったら、全員でトラックまで運び出してください。このときは全員が梱包作業の手を止めて、一斉に搬出作業を行い、これを繰り返します。

 

作業中に要不要の判断がつかない物を手に取ったら、ひとまず検討中の箱に入れ、梱包作業が終わったあとにゆっくり考えてください。

 

ポイントは「迷ったら、考えずにあと回し!」です。

探すときは探す、詰めるときは詰める、運ぶときは運ぶ、清掃するときは清掃するというように、全員が行動を一致させて行えば、作業はとてもスムーズに進みます。

 

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/