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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第27回 ~金銭・体力的に負担がかかる遠方の実家の片づけ~

親の家と自宅が遠いので、
交通費もバカにならない

 

自分の住まいと親の家が近ければ、ある程度頻繁に通うことができますが、車で数時間かかったり、新幹線や飛行機を利用しなければ帰れないような距離に実家がある場合も多く、行って帰ってくるだけで一日が終わってしまうので、片づけをしようとなると泊まりがけになりかねません。

 

何度も通えば交通費などもバカになりません。

いくら交通が発達したからといっても、中高年になれば、旅行するような距離を頻繁に移動すると体が疲れるもので、親の家に着いたとたんに休憩が始まり、結局片づけどころではなくなってしまうケースも多いのです。

 

次にご紹介するケースは「東京⇔名古屋」の場合ですが、「東京⇔鹿児島」や「宮崎⇔札幌」といったように、遠方の親の家を片づけないといけないという方も多いと思います。

 

実家の片づけに週替わりで通った兄弟夫婦。200万円近い出費のあと、結局はプロの専門業者に依頼……。「もっと早く知っていれば……」   50代の兄弟夫婦(東京都)

 

 

私どもキーパーズが、お手伝いしたご遺族の場合です。

遺品整理をするために兄弟夫婦が週替わりで東京から名古屋の実家まで通い、片づけを始めたそうです。

そして半年たったころ、私の会社の存在をテレビの情報番組でお知りになり、連絡をくださったので、私はそのご実家を訪問させてもらいました。

 

たしかに部屋数は6部屋ほどある広いマンションでしたが、家財道具の片づけは、まだ3割も進んでいませんでした。

お兄さんがおっしゃいました。

「半年もかかって毎週といっていいぐらい弟夫婦と交互に来て片づけようとしたのですが、1泊程度ではほとんど往復の時間のためにお金と時間を使っているようなものでした。全く片づけが進まず途方に暮れていたときにおたくの放送をテレビで見たのです」

 

私は、率直に質問しました。

「それはご苦労さまでした。相当費用がかさみましたね、どれくらいかかりましたか」

答えを聞いて、あまりの金額に私はびっくりしてしまいました。

「交通費やもろもろの経費を考えると、夫婦で1回当たり7万円以上はかかっていると思います。弟夫婦と合わせると、200万円近くは出費したことになります」

お兄さんは、それまで金額の計算をしたことはなかったらしく、自分でも愕然とされておられました。

 

結局、私どもがお手伝いし、スタッフ10名ほどの作業で、1日で清掃まで完了しました。片づけ費用は60万円ほどでした。

作業完了後、お兄さん夫婦も弟さん夫婦も喜んでくださいましたが、どなたかがポツリとつぶやかれたのを覚えています。

「もっと早く知っていたなら……」

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/