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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第23回 ~悲嘆に暮れ、片づけどころではなくなる人もいます~

できればしばらくそのままにしておいてあげたい

 

ご遺族の中には、自らの意思でしばらくは故人の部屋をそのまま残しておいてあげたい、と考える人もいます。

遺品の残っている部屋には、親の生きざまが遺されています。いつまでも放置することはできないが、さりとて、さっさと消し去ってしまうのもどうか、というのは常識的な考えだと思います。

 

遺品の整理をさっさと終わらせてしまうことに、罪悪感を感じてしまう日本人は多いのではないでしょうか。特に、自分が幼少期を過ごした実家となれば昔の思い出もたくさん残っていて、普段は気に止めないことでも、いざ片づけようと思うとさまざまな記憶がよみがえってくるものです。

 

「片づけるけれどいいかな?」

親が存命で確認できればいいのですが、その親が他界しているとなるとそうはいかないのでやっかいです。

 

私は、遺品整理の踏ん切りがなかなかつかないために、日常生活に何らかの支障や影響が出てきた方を見ています。

故人への愛情の深さや、亡くなるまでの故人との関係によっては、踏ん切りをつけるにはそれなりの時間が必要になったり、ひとりでは決断ができなくなってしまう人も多く、故人の死によって心に深い傷を負ってしまい、故人の部屋のちり紙ひとつとして片づけられなくなってしまう方もいるのです。

 

遺品を見るたびに故人との思い出がよみがえり、悲しみにひたりきってしまう状態を、「悲嘆に暮れる」いいます。

この状態になると、片づけをするかしないかどころではなく、日常生活にも支障が出てしまい、本人ひとりでは立ち直れないという場合も多いのです。

最近ではこのような遺族のために、悲嘆から立ち直るためのグリーフケアの会などが全国にあります。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/