専門家に聞く

遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第22回 ~片づけをひとりで担うのは厳しいものがある~

体力的にすでに自分ひとりでは不可能!

 

私どものように遺品の整理を専門にしている者からすると、実際のところ自宅の片づけは特別途方もない重労働ではありません。

 

ですが、それを荷物運びに慣れていない人がやろうとしても無理があります。

慣れていない人が複数いても、一軒分の家財道具をすべて分別し、梱包し、タンスや冷蔵庫などを搬出することは大変なことなのに、手伝ってくれる人が誰もいない場合は、ひとりでしようとしても到底無理な話なのです。

 

ごみが多かったら、一般ごみやプラスチック類、不燃ごみ、資源ごみといった具合に分別し、収集業者に依頼しなければなりません。指定日に指定場所まで粗大ごみを運び出す作業もあります。そもそも荷物を運び出すトラックの手配も必要になれば、運転手もいります。

 

電気、ガス、水道、電話などの停止手続きも必要になるかもしれません。ビニールテープや段ボール、軍手、マスクなど、当日の作業で使用する用品の買い出しもあります。

 

自分たちで親の家を片づけようとしても、実際に一日で終わることはありません。

 

これからは孫が祖父・祖母の「片づけ」をするのが主流に!?

平均寿命が延びて、80歳を過ぎてもお元気で暮らしておられる高齢者も増えてきましたが、親が長生きすればするほど、親の家を片づける子どもの年齢も高くなっていくのです。

 

事実、ひとり住まいの親の遺品整理をしなくてはならなくなった子どもさんの年齢が、65歳以上の高齢者というケースも増えています。

 

もちろん元気で、体力のある高齢者もいらっしゃいますが、高齢化が進めば進むほど、片づける側の年齢もさらに高齢化していくというのは紛れもない事実です。

自分の親が長生きしてくれるのはありがたいことですが、親の家を片づけるときの自分の年齢を考えてみるとゾッとするかもしれませんね。

そのときには、兄弟姉妹の多くが亡くなっている可能性もありますし、腰痛を抱えたりしていれば、ますます自力で親の家を片づけることは難しくなります。

結果的に、故人の孫にあたる自分の子どもの手を借りなければならないという事例は、とてもよくある話になってきました。その孫も仕事が忙しいといった事情で、必ずしも手伝ってくれるとは限りません。

 

親の家の片づけは、第三者の手を借りるという選択肢を考えないといけない時代になってきたのです。

日本の男女の平均寿命が、今後さらに延びていくだろうことを考えると、親の家を片づける子どもが75歳以上の後期高齢者である、ということも十分あり得るのです。

実際に私どもがお手伝いする場合でも、「父親が腰痛のため立ち会えないので、孫にあたる私が代わりに申し込みます」など、孫や甥、姪から依頼されるケースも多くなってきています。

ひょっとすると、「親の家を片づける」時代から、「祖父母の家を片づける」ケースがスタンダードになる時代がやってくるかもしれません。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/

2015/03/09 | キーワド: , , , , | 記事: