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スッキリ生活アドバイザー宮城美智子の「片づけ上手は老い上手」 第24回 ~「もったいないやんか」と言って モノを捨てようとしなかった母~

まさか自分の親がこんなにたくさんのモノを
遺して逝くなんて……

 

家のあちこちに使っていないモノがあり、それを何年も持ち続けている。そんな人は、モノを処分できない理由として「まだ使えるのに、手放すなんてもったいない」と言います。でも、はたしてそうでしょうか。今日は私の母の話をしたいと思います。

 

私の実家は滋賀県にあり、両親と弟の3人が暮らしていました。母は、床や廊下にモノを出しっぱなしにすることはなく、掃除も隅々まで行き届いているほどのきれい好き。ただし、収納は苦手だったようです。その大きな原因は、なかなかモノが捨てられなかったことにありました。

 

戦時中にモノがなくて苦労をしたので、モノがあふれる現代でも「捨てる」ことに大きな抵抗感や罪悪感があるのだと思われます。とにかくなんでもとってありました。とくに多かったのが洋服。手先の器用な母は、仕立ての仕事をしていたこともあり、大変な量の昔の服を処分せず保管していたのです。

 

普段は使わない2階に上がると、ひと部屋に洋服簞笥が何棹も並べてあって、そこに洋服が隙間なくぶら下がっていました。別の部屋の押し入れには、やはり服を入れた衣装ケースがいくつも積み上げてある。ほとんどが母の仕立てた服なんですが、どれもレトロすぎて今着る人なんか絶対にいません。なかには60年も前に作った服で、びっくりするような柄がプリントされているものも(笑)。見かねて「少し減らす?」と言っても、「もったいないやんか」と言って決して捨てようとはしないのです。

 

モノを捨てるのはもったいないという気持ち。しかも、自分で作った服を捨てるなんて、生きてきた過去まで捨ててしまう気分……。そういった感情が渦巻き、人に処分をうながされると反発して、「絶対に手放さない」「ここに置いておく」とかたくなになってしまうようでした。

 

「お嫁に出そうか」このひとことが母の心を動かした

やがて母が80歳のとき、数年前から病の床にあった父が亡くなりました。配偶者の遺品はなかなか処分できないと言いますが、母も同様でした。亡くなったあとの3年間、父のモノはまったく手つかず。背広やシャツ、ネクタイなどもすべて持ち続けていました。

 

このままでは実家のモノは減らない……。そう思い、三回忌で父の納骨をすませたあとに「ねえ、お母さん。お父さんもお墓に入ったし、そろそろ遺っているモノを整理してみる? 服は、このまましまっておくより、誰かに着てもらったほうが、お父さんも喜ぶかも」と言ってみました。そして「まず背広を、お嫁に出そうか」と続けると、「お嫁に出す」という言い方が母のかたくなな心をとかしたようで、「そうね。もらってくれる人がいるなら、手放してもいいよ」とうなずいたのです。

 

 

(第25回へ続きます)

 

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宮城美智子さんプロフィール画像edited宮城美智子 みやぎ・みちこ スッキリ生活アドバイザー、収納コーディネーター

1947年滋賀県生まれ。50歳からアート引越センターに勤務し、主婦経験を生かしてアートエプロンサービス(家庭内の片づけをサポート)の担当部長となる。片づけや掃除の独自のノウハウを構築し60歳で独立。現在はハート引越センターの収納サポートレディ育成のほか、高齢者住宅の収納プランニング、講演活動、テレビ・雑誌などで活躍中。これまで1万人以上の片づけをサポート。特に高齢者の家にあふれるモノの整理をアドバイスし、多くの人から感謝されている。

宮城美智子オフィシャルサイト  http://theworks.co.jp/miyagi/
ハート引越センター http://www.hikkoshi8100.com/