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スッキリ生活アドバイザー宮城美智子の「片づけ上手は老い上手」 第21回 ~高齢者住宅へ入居してからでは、なかなかモノを減らせない~

高齢者住宅へ住み替える場合、予想以上にモノを持っていけないことを前回お話しいただきました。なかなか荷物の選別ができず、たくさんのモノを持参した場合は、どうなるのでしょうか。

 

入居してからのモノ減らしは
まず無理だと思ってください

 

以前、ある入居者の方が、高齢者住宅のスタッフに「とにかく荷物は少なく。ほとんどすべて、捨てるつもりで入居してください」と言われたため、たくさんの家財道具を処分してしまい、後悔し、高齢者住宅側のスタッフを恨むことになった、という話を聞きました。

 

やはり、大事なモノ、必要なモノは自分で考えて選び、それを持って入居したいものです。しかし、たくさんのモノを抱えて暮らしてきた場合、引っ越し直前にモノの選別をすべて終わらせることは不可能。かといって、「とにかく、持っていけるだけ持っていって、新居で時間をかけて整理すればいいわ」という考えも危険です。

 

高齢者にとって、引っ越しはとても疲れる作業です。さまざまな手続きもあるので、体力だけでなく知力も気力も、持てるエネルギーのほとんどを使い果たします。普段の日常生活を元気に送っていて健康や体力に自信がある人でも、かなり消耗します。

 

大量の荷物を持って入居したあとは疲れきって、モノを整理するどころではありません。段ボール箱を積んだまま、中から必要なモノだけを取り出して生活をスタートさせることに。そして、体力の回復も若いときのようにひと晩眠ればすっきり、とはいかないため、なかなか段ボール箱の山が減っていくことはありません。そのため生活スペースは、いつまでたっても、たった一畳分という人がいました。

 

お風呂場を物置にしてしまう人もいます。大きな共同風呂のある高齢者住宅では、部屋のお風呂は押し入れがわりになってしまうことがあるのです。

 

荷物で生活スペースが圧迫されたままでは、
心の健康にもよくありません

 

段ボール箱に囲まれた生活は、精神的にもよくありません。モノが動かないと、心も動きません。その結果、ストレスで気持ちがうつうつとしたり、認知症になったり……。ですから、決して「入居してから、モノ減らしをすればいい」とは考えないでください。

 

トランクルームを備えた高齢者住宅もあります。とはいっても、たくさんの持ち物を預かれるほど大きなトランクルームではありません。そして、もちろん有料です。

どうしても手放せないモノは、このトランクルームに預けるという手があります。いつも使うモノではないけれど、持っていると思うだけで安心する、心が落ち着くというのなら、トランクルームに預けてください。ただし、人には「見えないモノは忘れてしまう」という習性が。預けたモノをいつの間にか忘れてしまい、それが不要なモノに変わってしまうこともあります。預けるときはよく考えてからにしてくださいね。

 

(第22回へ続きます)

 

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宮城美智子さんプロフィール画像edited宮城美智子 みやぎ・みちこ スッキリ生活アドバイザー、収納コーディネーター

1947年滋賀県生まれ。50歳からアート引越センターに勤務し、主婦経験を生かしてアートエプロンサービス(家庭内の片づけをサポート)の担当部長となる。片づけや掃除の独自のノウハウを構築し60歳で独立。現在はハート引越センターの収納サポートレディ育成のほか、高齢者住宅の収納プランニング、講演活動、テレビ・雑誌などで活躍中。これまで1万人以上の片づけをサポート。特に高齢者の家にあふれるモノの整理をアドバイスし、多くの人から感謝されている。

宮城美智子オフィシャルサイト  http://theworks.co.jp/miyagi/
ハート引越センター http://www.hikkoshi8100.com/