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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第11回 ~遺品整理は天国へのお引っ越しのお手伝い~

「おじさんたちは、天国へのお引っ越しをしているんだね!」
小学生のひと言からすてきな言葉が生まれました

 

私どもキーパーズが、「『天国へのお引越し®』のお手伝い」をキャッチフレーズにしようと思ったのは、小学生の男の子のひと言があったからです。

 

あるお宅の遺品整理でのお話です。

 

「1年前に亡くなって今までそのままにしておいたのですが、いつまでもそのままにしてはおけないし、かといって自分たちで片づけてしまうのも心残りでできなかったのです。思い切って業者さんにお願いしないといつまでも片づかないと思って声をかけさせていただきました」

 

「ありがとうございます。誠意をもってお手伝いさせていただきます」

 

「すみませんね。私たちがウロウロしていては、スタッフの方にしてみればお邪魔でしょうね」

 

「そんなことはないですよ、遺品の確認をお願いすることもありますのでいらしていただいたほうが助かりますが、5時間ほどかかると思います。お疲れのないようにしてくださいませ」

 

最近では、遺族の立ち会いもないまま淡々と私どもだけで遺品整理をすることも多くなりました。物理的にはたしかに作業は速く進むのですが、どこか寂しさを感じていたのも事実です。

 

遺族の方と一緒に、思い出話をお聞きしながら、家族愛が感じられるような温かい雰囲気の中でお手伝いをしているほうがやりがいを感じるものです。ですから「そんなことはないですよ」は社交辞令やお世辞などではなく、本心でした。

 

そのひと言が会社のキャッチフレーズに

遺品の搬出もほぼ終え、部屋の掃除をしていると、小学生の男のお孫さんを連れて、缶ジュースを持ってきてくださいました。

 

スタッフを集めてお礼をいい、しばし休憩をとりながらその缶ジュースを飲んでいたときです。男の子がもの珍しそうに尋ねてきました。

「ねえ、おじさんたちは何をしているの?」

男の子に「遺品整理」という言葉は難しいだろうと思い、「亡くなったおじいさんの荷物を片づけているんだよ」と私が答えると、男の子は「おじさんたちは、天国へのお引っ越しのお手伝いをしているんだね!」といってくれたのです。

 

その場では気にとめなかったのですが、すべての作業を終えて会社に戻ろうと車に乗っているときに、「天国へのお引っ越しか……」と、ストンと胸に落ちてきたのでした。

遺品整理の場にいた小学生の「天国へのお引っ越しのお手伝いをしているんだね!」という言葉から生まれた「『天国へのお引越し®』のお手伝い」は、現在キーパーズの登録商標となり、キャッチフレーズとなっています。

キーパーズでは、天国の故人の元へ届けてあげたいという思いから、各支店で遺品の合同供養を行っています。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越し®」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/