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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第7回 ~遺品は故人の生きざまを語る存在~

「遺品」と「遺品整理」の意味を理解しておく

親の家の片づけを遺品整理会社に依頼するにせよ、自分でするにせよ、その前に、遺品と遺品整理の意味について考えてみてください。

明るいイメージやポジティブなイメージはないと思います。それどころか、ちょっと悲しく不気味なイメージを抱いてしまうかもしれません。身内の遺品は気持ち悪くはないし、有名人の遺品なら価値が出るけれど、知らない人の使っていた遺品となると、物がよくても少し気味が悪いと感じる人も多いのではないでしょうか?

 

かくいう私も、昔はそんなイメージを無意識のうちに持っていました。

 

でもよく考えるとこれは不思議なことですよね。遺品といわれる故人が遺した家財道具は、嫌われなければいけない要素なんてひとつもないのです。

 

それどころか、故人とともに長い時間を過ごし、ある意味では故人の生活の癒しであったり、サポーターのような存在であったともいえるのではないでしょうか。オーバーな表現かもしれませんが、ペットのような存在だったと見ることもできます。

 

誰も知らない故人の秘密や、人前では決して見せなかった故人の泣き顔も知っている存在でもあるわけで、素のままの故人の生きざまを語る唯一の存在なのかもしれません。

 

無意識に故人の人柄が浮かぶ、遺品整理の現場

 

私どものように年間に1500件以上の遺品整理の現場に立ち合っていると、会ったこともない故人の嗜好や性格、職業が推測できます。

趣味は何か、どんな食べ物が好きか、いつも飲んでいたビールの銘柄はどの会社のものか。この方は掃除が好きで、最近は仕事をしていなかったんだなあ……など、毎回そんなことばかり詮索しているわけではありませんが、無意識のうちにイメージを描いているのです。

 

つまり、部屋に遺された数々の遺品は故人の人生を物語っている、証人のような存在であると思いませんか。

故人の生きざまから学ばせていただいた多くの事柄は、今の私の生活にとても役立っています。

 

「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがありますが、まさしく故人は身を持って私に教えてくれているんだと感じるのです。特に人間関係の重要性については、痛いほど再認識させられます。

 

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越しR」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/