専門家に聞く

掲載後、体験者を中心に予想以上の反響  読売新聞「親の家 片付ける」連載記事  担当記者が見た、感じた「親家片のリアル」 第2回 ~さびしさや孤独感がモノを増やす~

昨年8月に読売新聞に連載された「親の家 片付ける」。反響は予想以上にあり、掲載後に100通を超える体験談や感想が寄せられた。数々の手紙やファックスに綴られた「誰にも伝えられなかった思い」。そこから見えてくるものは……。前回に続き、担当記者・宮木さんにうかがった。

 

 

そもそも「親家片」を語る場など、以前はなかった

 

大きい反響があった50~60代は、妻や嫁、娘としての責任感が強い世代。「私がやらなければ」と、ひとりで親家方に取り組む人も少なくない。

 

「夫はあまり手伝ってくれないし、義理の親の片づけなのに、自分ひとりで背負わなければいけない……。そんな不満を抱えたまま取り組み、文句のひとつもこぼせる相手がいないなか、ひとり孤立して片づけと向き合ってきた。そのときの思いをぶつけるかのように書き綴っている気がしました」(宮木さん)

 

少し前までは、「親家片」は家の中の問題として表面化することはあまりなかった。「大変だ」と気持ちを吐き出す以前に、ゴミ同然の古いモノが捨てられずに大量に残っている状態が恥ずかしく、誰にも話すことができなかったのもあるだろう。

 

「相続や介護の話は『大変なの、聞いて』と言えるけれど、今までは親家片の概念そのものがなかったんですね。親家片という言葉が少しずつ認知され始めたことで、経験者が語る場ができたのだと思います。『親家片って大変』と話せるようになったのは、いい流れなのかもしれません」

 

さびしいからモノが増える

 

実際に親家片の現場を取材した宮木さんの印象に残っているのは、高価なモノより、アルバムなど思い出の品の処分に困る人が圧倒的に多いことだったという。

 

「お歳暮やお中元でやりとりされた贈答品や、どこかでもらってきたタオルなどの粗品、そして、捨てていいのかわからない着物や衣類が家の中にどっさりたまっているのも、親家片で苦労した人の共通事項です。

 

親世代からもたくさんのご意見や体験談が寄せられ、『さびしいからモノが増えるんです』という80歳でひとり暮らしをしている女性がいました。『子どもは捨てろ、捨てろと言うけれど、頻繁に訪ねてくるわけでもないし、3カ月分くらいの食料や日用品を買いだめしておかないと不安なんです』と。

 

親世代からは、『ほうっておいてくれ、思い出のモノもあるのだから、捨てるなんて言わないでほしい』という声が、かなりありました。戦中・戦後のモノがない時代に育ったのもあると思いますが、心のどこかにさびしさがあり、モノに囲まれていると安心するからなのかもしれません。親家片は、高齢者の孤独のようなものが反映されている問題でもあるのかなと感じました」

 

(第3回へ続きます)

取材・文/小山まゆみ

 

宮木優美さん
読売新聞東京本社 編集局生活部 記者
2003年に読売新聞東京本社に入社。青森支局、川越支局で、地域で暮らす人々を取り巻く問題を取材。2008年からは生活部で、衣食住に関する話題や、家族、親子をめぐる問題、働く女性が直面する問題などを取材している。